"どうだった?"と。なんとなく、訊くのはやめておいた。電話がいつでも繋がっている――そう思うだけで、勇気のような安心のような、決意のようななにかが湧くから。
きっとアイツは泣かないだろう、最後は笑うヤツだろう、勝つヤツだろう、そう知っている。だから自分も
「――っし!」
頑張るしかない。そうなりたい、強く思った。
ひどく晴れた冬の日だった。
カツン。革靴が鳴った気がした。しかし正体は上履きのゴム底の音。自分がコドモだと、親の保護下にあるのだと思い知るには十分な音。
「あーあ、カッコ悪ぃ」
けど、
「おやじ、来んのかな…」
コドモはコドモ。
親の背を見ていても、本当に恋しいのは顔だったりするものだ。そう考えるようになったのはアイツに出会ってからだった。