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冒頭/愛しいリバティーン消えない。星の一夜と、求めた身体の熱いこと。両に大きく拡げた治りかけの傷だらけの脚が、乗りかかる男の膝の裏を捕まえた。
「……――あッ、ん…」
くぐもった声に打ち付ける肌の音。いつしか互いに寄せ合う身体と唇は、強がりも強張りも、快感でもって削ぎ落とす。
「天、化…」
「……はっ、つ…」
「……天化…」
「発、…ンッ――!!」
はらはら散る髪の儚いこと。
止まない口付けの愛しく哀しいこと。
こんなにも弱かった。溺れきった愛しさでもって蘇る。溢れた涙は両の物だった。目覚めればきっともう、二度と会うことはないだろう不思議な人肌が、擦れ合う弱さを快感に包んで。
「……発」
薄れ往く意識の中で、恋には遠いアバンチュールが華開く色町の隅。