計画しました


「そうだ、お泊り会をしよう!」


部活終わりの部室、突然言った松風に一瞬きょとんとするもののもう慣れたかのように理由も聞かずに乗る2人と溜め息を吐く2人。もちろん乗ったのは西園と影山、溜め息を吐いたのは剣城と狩屋である。


「天馬くん、ノリで言うのやめようよ…」
「もちろん2人にも拒否権ないから!」
「「………」」


ああもう何も聞いてねえこいつ…とでも言いたげな剣城と狩屋は放置で、3人はいつにするか誰の家でするかなど2人が参加することを前提で話を進めていた。


「俺は兄さんのこともあるから無理だ」
「俺も泊まりとか禁止なんだよね」
「じゃあお兄さんのお見舞いにみんなで行けばいいじゃん。狩屋だって頼んでみるだけ頼んでみてよ」
「いや来るな」
「無理怒られる」
「「「えー」」」


ぶーぶーと文句をたれる3人(主に松風)に2人は頑なに断り続ける。
これには実は理由があった。


先ほど部活の休憩中、剣城と狩屋は浜野に呼ばれた。ひたすらにやにやと笑う浜野に若干引きかけながらも用件を聞く2人。口元に手をあて周りに聞こえないようにする浜野の仕草を見て2人が耳を寄せれば、とんでもないことを言われた。


「お前ら付き合ってんの?」


一瞬間を開け即座に否定し始めた2人。浜野に詳しい話を聞けば、どうやらこの間の保健室の件を聞いていたらしい。カーテンの向こう側で。


「浜野先輩もあの時サボってたんすか」
「サボり言うなよ俺は病気と戦ってたの!」
「睡魔ですか」
「ちゅーかあん時俺の隣のベッド、円堂カントクだったぞ」
「「え」」
「なんか腹壊してたらしくって」
「サボりとか普通に言っちゃったじゃん」
「まあ鬼道コーチじゃないだけよかったな」
「ちゅーか話そらすなよ」


そこから誤解を解くのに休憩時間全てを使った2人。それでもまだきっと浜野は誤解しているに違いない、2人はそう思っていた。
こんなことがあった後、お泊り会など行けるはずがない。現に浜野がにやにやしながらこっちを眺めている。というか、浜野は男同士であることに何も引っかからないのか、誤解を解いている時にそれを聞けば「いやべつに」とさらりと返された。そのとき2人は心の底から切実に思った。「(倉間先輩ならよかったのに…!)」と。
未だに嫌だ行かないといい続ける剣城と狩屋に痺れを切らした松風が言った。


「なんなの?最近2人すごいラブラブだよね、2人のほうがいいの?俺たちは邪魔なの?」
「「変な言い方するな!」」

ううっと手で顔を覆い泣き真似をする松風とそれに寄り添い泣かせたーと剣城と狩屋を責める西園と影山。少し遠くから「おい浜野?」「何かおもしろいことでもありました?」「や…、なんでもっ…ないっす、…くくっ…」などという会話が微かな笑い声とともに聞こえる。


「天馬落ち込まないで?」
「3人でお泊りしようよ」
「うんそうだね、邪魔しちゃ駄目だもんね」
「「わかった行くよ!」」


わーい、と喜ぶ3人。浜野の思い切りふいた声が聞こえる。剣城と狩屋は同時に大きな溜め息を吐いた。


そして今週の土日に場所は松風の家となった。
この日剣城が兄の優一に泊まりのこととその日は見舞いに来られないことを伝えると、優一はすごく感激したという。同じくお日さま園でも。曰く、「お泊りに誘ってくれる友達ができたんだね…!」らしい。剣城と狩屋は何も言えなくなった。










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