05

空座町の一角、とある建物。鳥も犬もアリも、すべての生き物がさけている倉庫の様な場所。そこに、ある少女と男性が当たり前かのように入って行った。


「ただいまー!」
「ごはん買ってきたよ。」
「ジャンプは?」
「自分で行ってよ…」


緑髪の少女がガサガサとビニール袋を持ち上げ帰宅を告げる。建物の中にいたアフロの男が同じく帰宅した金髪の男性に問うた。男性はその問いに溜息を吐き、アフロの男が求める雑誌ではなく昼食の弁当を差し出した。


「あっテメ、それ俺のだ!」
「早いもの勝ちだもーん!」
「まあまあ、落ち着いて下サイ…」


その横で弁当を取り合うのは先ほどの緑髪の少女と筋肉質な男。それを大柄な男が宥めていた。


「おい」


奥から出てきたツインテールの少女の声に全員が注目する。


「…気付いとるんやろ、ええんか。」


少女がそう口にした瞬間、その場を包む空気が変わった。少女の表情は、悲しそうな、拗ねた様な、なんとも言えないものだった。


「…ええも何も、ないやろ。」


少女の隣にいたオカッパの男がそう答え、少女の頭を撫でたが、すぐにハゲボケと罵られ振り払われる。


「なあ、そうやろ?」


オカッパの男が輪から外れ、ぼんやりと何処かを眺めていた女性に声をかけた。セーラー服を身に纏い、長く伸びた黒髪を三つ編みに結った彼女は何も答えず、ただ静かに眼鏡を掛け直した。



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