13

浦原商店への帰宅途中だった。虚が現れたのだ。いつも通りルキア達が対処するだろうと思って見向きもしなかった。
が、虚は消えるどころかその数を増していく。


「どうなってんだ…?」


空紋が次々に開き、空座町に虚が集まってくる。俺も一応死神な訳で、霊力なんかもそこそこ高い訳で、つまりは虚を呼び寄せてしまう訳だ。数時間前に一護と俺の死神姿云々と話したばかりだというのに、なんてタイミングだ。俺はすぐに義魂丸を口に含んだ。


「実戦なんて、何年ぶりかな。」


普通なら起こり得ない状況。故意的なのだとすれば、今思い当たるのは一人しかいない。彼だって分かっているはずだ、身近に霊力の高い人間がどれ程存在しているのかということを。
後で一発、大人しく受けてもらう。そのために、目の前の虚共には道を開けてもらおうか。


「破道の六十三 雷吼炮」


劈く様な爆発音の後、舞い上がった砂煙が晴れると虚は消えていた。
俺は掌に伝わる久しい感覚を確かめる様に強く握った。落ち着け、大丈夫だ。あの時とは違う。自分に唱え、深呼吸をする。


瞬間、大きく影が差した。恐る恐る顔を上げると空には大量の虚が。まじかよ。ひくりと顔が引きつった。一匹ずつの力が弱くても、何分数が多すぎる。分が悪いな。ああ、そうだ。


「逃げよう。」


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