11

現世で過ごし始めて数日、俺は非常に困っている。
喜助が何を考えているのか全くわからないのだ。ルキアの力が戻ることは未だなく、喜助にそれとなく探りを入れるが、はぐらかされ続けている。一応言っておくが喜助のことを信用していないわけではない。しかし、今のところ喜助かどこぞの腹黒眼鏡くらいしか思い当たらないのである。


そして唯でさえ行き詰まっているというのに、どういう訳かまた別の厄介な事件が起こっている様だ。


「虚が消える?」


こくりと頷いたルキア。確かに、最近ルキアの言う通り虚が現れたと思えばすぐに反応が消える。一護たち仕事速いな、なんて思っていたのだが二人ではなかったらしい。


「雅ではないのだな?」
「うん。」
「ではやはり伝令神機の故障か…?」


ルキアは力が戻っていないし一護でもない。喜助が動くとも考え難いし、ルキア以外の死神が派遣された様子もない。勿論俺は何もしていない。ならばルキアの言う通り伝令神機の故障という可能性が高いだろう。
まさかとは思うが、新種の虚の研究だとかしてないよな。某下衆眼鏡が頭をよぎる。


その時、ルキアの伝令神機が鳴った。


「…行ってくる。」
「頑張って。」


難しい顔をしたままのルキアと、テストがどうとか噂がなんとかと騒いでいてルキアに引きずられて行った一護を見送る。
俺は問題が増えたな、と考えながら帰り支度をしていた。喜助が関わっているのならまだいい。何を考えているかはわからないが、多分大丈夫だ。だが、もしも、あいつが関わっているのなら。ただの伝令神機の故障で済めばいいのだが。


「君は行かなくていいのかい?」


慌てて振り返ったそこには誰もいなかった。
どうやら杞憂には終わらないらしい。



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