08
一段落したのか越智先生が教室から出た瞬間、一気に騒がしくなった。俺の周りには先程の井上織姫と有沢竜貴を含め人が集まり、名前や質問が投げかけられる。それに少し顔を歪めたのは前の席に座っている眼鏡をかけた少年だった。
「琴吹くん、ちょっと良いかしら?」
引き攣った笑顔で声をかけてきたのは、俺が探していた張本人である。ルキアは有無を言わさぬ様に俺の腕を引っ張り、教室を後にする。
俺の他にもう一人、ルキアに顔面を掴まれ引き摺られているオレンジ頭の少年。教室から出る時、眼鏡の少年と一瞬だけ目が合った気がした。
離せだとか痛いだとか喚くオレンジ頭と共に、屋上に連れられた。やっとルキアの手から解放されたオレンジ頭は、その頭に疑問符を浮かべながら俺とルキアを交互に見る。
「久しぶり、ルキア。」
「…何故、雅がここにいる?」
「行方不明になったルキアを探しに。」
少し肩を揺らしたルキアに、なんとなく感じていた予感が確信に変わった。
「君が何か関係してるってことでいいんだな?」
俺がオレンジ頭に問いかければ、警戒したのか一気に険しくなる表情。争うつもりは毛頭ないのだが、ルキアは俺の大切な友人なのだ。彼が原因なのであれば、俺は。
「お前、死神か?」
「…ああ、君は?」
そして俺は、オレンジ頭の答えに、絶句することになる。
「黒崎一護、死神代行だ。」