ネタメモ | ナノ
■wtびっち2



「迅〜飲むぞ!」
「いや太刀川さん、俺まだ未成年だってば。」


本部での仕事を終わらせて支部に帰ろうとしていた時、そう太刀川さんに声をかけられた。俺の言葉に「あ、そういえばそーか。」と零している太刀川さんの後ろには風間さんと諏訪さんがいる。今日はこの3人で飲むのだろう。


「まあいいじゃねーか!ほぼハタチだろ」
「おい太刀川、風間いるから飲み屋行くと年確されんぞ」
「迅が来るなら太刀川の家でいいだろう。」
「俺ん家かー…まあいいけど」
「え、俺が行くこと確定なの?」


俺の意思は確認しないんですか。べつに明日非番だから大丈夫だけどさ。
コンビニで酒やらつまみやら俺用にジュース(三人持ち)を買い、太刀川さんの家に向かった。


太刀川さんの家で飲み始めて数十分。酒が回り始めている諏訪さんといつもより若干テンションの高い風間さんを眺めながら俺はジュースとぼんち揚げを貪っていたのだが、どうもおかしい。俺を誘った張本人の太刀川さんがほとんど飲まずにずっと携帯を弄っているのだ。普段ならこの時点で完全に酔っぱらって諏訪さんあたりと賭け麻雀とか始めるはずなのに。
二人も不思議に思ったのか、諏訪さんが「なんだ女か?かわいい?写メは?」とうざ絡みを始めた。あ、風間さんも携帯覗こうとしてる。「違うって!ちょ、諏訪さん携帯とらないで!」「風間、抑えろ。」「任せろ。」「風間さん力強っ!」なんてやりとりをしている成人組に元気だなあと思いつつも、俺も太刀川さんの彼女は気になるので諏訪さんに加勢しようと身を乗り出した。


その時、未来が視えてしまった。


まずい、これは非常にまずい。いきなり硬直して冷や汗を流す俺に暴れていた三人も動きを止めた。そして太刀川さんはにやりと笑った。


「ごめん俺ちょっと用事思い出した帰るねそれじゃあお疲れおじゃましました!」
「ノンブレス」
「すごいな」
「逃げるなよ、迅。」


ニヤニヤしている太刀川さんに、全てを察した俺は全速力で荷物をまとめて席を立った。逃げるに決まっているだろう。慌ただしく靴を履いてドアノブに手をかけた瞬間、ドアは勝手に開いた。


「逃がす訳ないでしょ、迅くん?」


思わず悲鳴を上げて後ずさった俺は悪くない。


「名前さん!本当に来てくれた!」
「太刀川くんLINEしつこい。」


後ろから追いかけて来ていた太刀川さんは一時間粘って良かったー!と喜んでいるが、俺にとっては迷惑この上ない。全然良くない。この人が来るのが分かっていたら絶対来なかったのに。


「何でいつも名前さんのことギリギリでしか読めないの…?」
「俺からしたら気に入られてるお前が本気で羨ましい。」
「おじゃましまーす。」


派手なハイヒールを綺麗に揃えて上がって行く名前さんを荷物持つよ!上着かける!と気に入られたくて必死らしい太刀川さんは忠犬のように追いかけて行った。太刀川さんのことも十分気に入ってると思うけど。そんなことより今のうちに逃げようと音を立てないようにドアを開けようとしたら、ゆらりと振り返った名前さんがにっこり笑って俺の名を呼んだ。


「逃げたほうが後が大変なのにね?」
「やっぱ用事なかったからもうちょっとお邪魔するね太刀川さん!」


半泣きである。






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