青いなあ青少年

集められた体育館の広さに(相変わらずだな)と赤髪の彼を思い出す。企画書の下にさり気なく書かれた『赤司』の文字を見逃す訳がないだろう。
各校顔合わせで何故か主将でなくマネージャーが代表として挨拶する事になった。霧崎第一がマネージャーのみの参加だったから?

学年順で海常のマネージャーに続き立ち上がる。

「霧崎第一高校三年生。森下千夜です。選手たちは勉学に忙しい為 私のみの参加ですがお役に立てるよう努力しますので宜しくお願いします」

頭を下げれば刺すような視線。目を向ければ誠凛二年生が私を睨んでいた。

「どうかされましたか?誠凛の皆さん。」

にこりと笑えば「別に」と日向が顔を背ける。

「そうですか。四日間宜しくお願いしますね?」

笑いを堪えるのに必死だった。見渡した中にやはり木吉はいない。
挨拶が終わりアップする為 各学校にそれぞれ分かれた。とりあえずはドリンクやタオルの準備しないと。与えられた役目はきちんとこなしますよ。


吐き気がする。一日中良い人の仮面をかぶり続ける事に体力の限界を感じる。まだ合宿一日目だと言うのに。唯一の救いは木吉鉄平が足の怪我のせいで参加していない事だ。彼に会ったら私の精神は持たないかもしれない。
今日の練習成果の記録まとめとかこつけて他校の選手達のデータが記入されているプリントを持ち出して暗記していた。キセキの世代のデータを見て 中学一年生だった彼らからの成長ぶりに感心する。花宮の予想通り今回の合宿に招かれた学校はキセキの世代や無冠の五将のいる所ばかりだ。

誠凛のプリントをめくり よく考えたら各校代表でマネージャーが挨拶した時 監督の相田リコがいなかったと気づく。誠凛メンバーからの視線に吹き出さないよう必死でわからなかった。相田じゃなければ誰が挨拶したのだろう。
火神の潜在能力に驚嘆して、黒子のページに手を止める。無冠の五将の『鉄心』木吉が参加しないのに この合宿に呼ばれた誠凛。それは恐らくキセキの世代の影に隠れた幻の六人目と唱われる彼のお陰だろう。彼は私達が彼の先輩にした事を知っているのだろうか。

「相変わらずヘボい記録」
「ヘボくてすみませんね」
「うひゃあー!!!!!」
「良い反応ありがとうございます」
「黒子...君」
「はい。黒子です」

この感覚 久しぶりだ。『存在のない天才』

「ふふ、テツヤ君久しぶり、会いたかったのよ」

にこりと作った笑を貼り付けると黒子は少し安堵した表情になった。

「元気そうで良かったです。千夜さん。会いたかったと言う割には僕を避けていませんでしたか?」

あんたを避けてたんじゃなくて誠凛の奴らだよ。この四日間良い人の仮面を利用して情報を聞き出せるだけ聞き出すつもりだから。
とは言わずに(当たり前だ)笑ってはぐらかす。

「私に何か用があるの?」
「ああ...。河原井さんが千夜さんを探していましたよ」

河原井?誰だ?と記憶をあさり、

「千夜ちゃん先輩!ここにいたんですね。探したんですよ」

の声と同時に現れた女に(ああ、誠凛のマネージャーか)と思い出す。挨拶してたのはこの子だ。
純粋で明るくて思いやりのある 私にふざけた呼び名を付けたその子。(千夜ちゃん先輩って何の恋愛ゲームキャラだよ)私の一番嫌いなタイプ。
自分を見ているみたいで気分が悪い。

視線を逸らした先。黒子が彼女を見る視線がとても柔らかい事に気付く。
青いなあ青少年。



誠凛マネ出オチ(笑)
黒バス二次創作における合同合宿の主催者=赤司様


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