見つけた

「つってもー花宮が認めるような奴ってどんな子?」
グラウンドで動き回る生徒達を眺めながら呟く。数ヶ月前に原達が同じようにマネージャーで探していたなんて私は知らないが。
私は三年生に 花宮達は二年生に進級した。一年生はそこそこ入ったけれど 皆真面目なイイコちゃんばかりで役に立たなそうだ。運動神経良し、頭良し、性格歪んでる、そして五月蝿くない奴。頼む。私の前に落ちて来て下さい。
どうして五月蝿くない奴かって?原はヘラヘラ煩い。山崎はギャーギャー煩い。瀬戸はぐぉーぐぉー(イビキ)煩い。そんな奴らが揃うとハイパー煩い なのだ。
「降ってきてくれないかなー。」
キーンコーンカーンコーン
昼休みが終わる合図の予鈴が鳴り、急いで階段を駆け上る。あまり使われて無い螺旋階段だから 誰にもぶつからないで済む。 と思ったのに、男子が一人飛び降りて来た。
一瞬の出来事がスローモーションに見える。このままじゃぶつかる。そう思い後ろへ跳ねた。男子の方も体を捻り 着地点を変えようとする。視線が絡まる。
空中で しかも不安定な体勢だったのに片足で綺麗に着地する彼。ちょっ、どこから飛び降りて来たか知らないけど片足で大丈夫なの?
こちらも着地しようと身構えるけど足に衝撃が来ない。そして、ここが階段だったと思い出す。つまり 落ちてる!?
集中力が切れ、一気にスローモーションも無くなった。浮遊感に死を覚悟すると、
だん。
先程の彼が着地したのと逆足で地面を蹴りこちらへ手を伸ばす。腕の中に抱き留められ 体を反転させ 下になるよう回り込み、私を抱えたまま着地したのだ。
「あ、ありがとうございます。」
「........すみません。」
この人今何回体のバランス取り直した?空中であれ程の身体バランス。身長は185前後くらい?それに何よりこの静かな物腰....と言うより死んだ魚の様な目。絶対物静かな人だ!
「見つけた。」
私は目を耀かせた。


[ 21/25 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -