溢れてしまった感情をどこへ持っていけば

「まこちゃーん。」
ぱたぱたと壁に持たれて立つ花宮の元へ駆け寄る。
「事情聴取は終わったのか?」
「ん、終わったよ。原は?」
「アイツは先に終わって部活行った。ヘマしなかったのか?」
「勿論。あ、褒めて褒めて〜 一人アソコ潰してやったー。」
「ふはっこれからの人生壊して、男としての存在価値も奪ったのかよ。」
「よくやったでしょ?」
頭に手を置かれ、つむじから首筋にかけてするりと撫でられた。
花宮のこの撫で方が好き。
「すぐ駆け付けられなくて悪かった。」
花宮の手中に収めた同族だけに優しくする所も好き。
「気にしないでよ。皆に報せてくれたおかげで原に助けてもらえたんだから。正直あのままだとやられてた。」
花宮にケータイで連絡を取り、連れ去られた事を知らせ 花宮が一部の一年生に伝えてくれた。一番に来たのは原だった。態と怯える演技をし、正当防衛に見せて(実際そうだけど)相手に怪我を負わす。その部分だけケータイで録画してもらい 証拠確保。数分後に花宮、瀬戸、山崎と警察が到着。警察はこちらの言い分を信じ、あちらが悪者扱い。 と言うのが今までの流れだ。
「それ、原のカーディガンか?」
「うん。」
「....オレのに変えろよ。」
「無理。だってこの下何も着てないもん。」
「....あ、そ。」
やばかった。原に黙っておいてと頼んだのに、バレる所だった。
「一度家帰ってから部活行くね。先学校行ってて。」
「待て、送る。」
「一人で帰れるよ。」
「一応 念の為だ。送らせろよ。オレは千夜の “彼氏” だからな。」
“彼氏”を完璧にこなす花宮は凄いと思う。私はとっくに演じるのを辞めたから。
“彼女”の立場を利用して花宮の隣と彼の腕を貰う。
「ふふっじゃ宜しくお願いします。“彼氏”さん。」
「ああ、そうだ。朝飯美味かった。ありがとな。」
これ程好きで溢れてしまった感情をどこへ持っていけば良い?



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