笑んでから舌を出す

「負けちゃったね。」
誠凛との試合の帰り道、二、三年生と解散した後 私、花宮、原、瀬戸、山崎の五人で歩く。真っ赤な夕日が私達の背後に影を伸ばした。
「あぁ。」
「でも、最高の出来映えだったね」
「あぁ。」
私の好きな顔で笑む花宮。夕日に照らされ尚更綺麗だ。男の人に 綺麗 は不適切だろうけど。私も応える様に笑う。上手に出来たと思う。ちらついた木吉の膝は無視だ。
「二人共 人格終わってるよね。」
原の一言に
「「ありがとう。」」
と声を揃える。褒め言葉だよねー まこちゃんとすり寄ると
「お前らさ」
山崎が呆れた声で
「え?」
「なんだ?」
「似たモン同士だな。」
と言った。
ふはっ 同時に笑う。 当たり前でしょう?私達は仲間意識の元 互いに寄り添ってるだけだ。愛情なんかで付き合ってる訳ない。同属嫌悪?とっくの昔に無くなったよ。結局自分が一番で自分が愛しい。自分が正しいと思いたいから 近い人を愛する。それが偽りでも。
「やっぱり性格悪い」
眼鏡を外し、髪を下ろす。手櫛で整えながら 山崎の言葉に ありがと と呟く。そうでなくちゃ花宮の彼女なんて演じられない。
花宮の腕に自らのそれを絡ませながら三人より少し早歩き。
「なー アイツらどうよ」
原の声が背後で響く。
「敵に回したくないな」
瀬戸が即答する。寝てなかったのか。
振り返りぐだぐだとしゃべり続ける彼らに笑んでから舌を出す。


[ 14/25 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -