KJN





体育館倉庫でバスケットボールを磨いていると、声が聞こえた。
「どーした(ら)椎名先輩マネージャーになってく(れ)ますかね....」
この声は早川だ。しゅんとうなだれている姿が想像できて、少し申し訳ないと思う。
「いいか?早川、知春ちゃんはいわゆるツンデレだ。ツンデレ女子を落とす方法は....」
このアホな発言をしているのは森山だ。私の癒しである天使早川になんてこと吹き込んでんだアイツはっ
体育館倉庫から怒りを露に出る。
「おおお!」
と興味津々に森山へ体を乗り出す早川。
「森山先輩後ろ」
中村が顔を引きつらせ、私を指さす。
「何早川にアホなこと吹き込んでんだこの変態!!」
背中へ足を振り下ろす。
「ぐはっ」
お、今の結構いいとこに入ったんじゃない?咽る森山を鼻で笑う。
「早川!森山の言う事信じちゃ駄目よ 」 「は...はい。椎名先輩。」

「うお!?森山どうしたんだ?」
小堀が床でのたうち回る森山へ心配そうに声をかけるが 私を見て あぁ と納得した顔をする。察しがいいね。またこのアホが余計なことやらかしただけ。森山を憐れみの目で見ていた小堀が体育館倉庫に視線を送る。
「ん?誰かボール磨いたのか?」
「うん、私やっておいたよ」
「そうか、ありがとう。おれらボール磨き任されたところだったから。助かる。ほら笠松も」
その言葉に笠松が小堀の後ろに隠れていたのを知る。
「うぇっはぁ”?なんでオレに振るんだ!?」
「椎名のおかげで自由な時間ができたんだぞ?」
「うっ....」
しぶしぶと言うように顔だけ出してもごもご口を動かす。視線は合わない。
「アリガトウ」
早川なみの早口でそう告げ 勢いよく小堀の背後へ隠れた。
「笠松....」
小堀の呆れ顔に別に大丈夫と手を上げる。初めに比べればマシになったものだ。目も合わせず、「ああ」と「違う」でしか((略
ため息をついた小堀は何かをひらめいたように手を打つ。
「なぁ、今から笠松の女子苦手を治さないか?」
「えっ?」
「「はい?」」
「はあ”ぁぁぁぁ”!?無理無理無理」
「せっかく椎名が仕事終わらせてくれたけど、体育館は先輩が使ってるし、運動場はサッカー部がいるし、基礎練しかする事ないだろ?」
「うえぇぇーオ(レ)もう基礎(練)したくないですー」
IH近いんじゃないのかよ!?
「な? そこでだ。椎名もいるし、できた時間を有効活用しよう。」
「い や だ!」
「オレも手伝う」
森山生き返ったのかよ。
「お前余計なことすんなっ」
「余計なこと?オレはお前のためを思って手伝おうとしているのに。ひどいな」
「嘘つけ」
「嘘じやないさ。こんな面白そっ大変そうなもの オレが手伝わないで誰がする?」
「森山っ....良いヤツだな」
「おい、小堀今コイツ面白そうって言ったぞ?」
「....マネージャーとまともに話せるくらいにはした方が良いですよ。」
「なっ中村まで」
「だろ?じゃあ今から“笠松の女子嫌い治そうの会”始めるぞ!」
その場にいたメンバーは私も含め小堀のネーミングセンスの無さに固まった。そして満場一致でこう思った。
((((突っ込まないでおこう))))
一人を除いて、
「うおぉぉお めちゃめちゃかっこいーじゃないすかぁ!!や(り)ますよ オ(レ)!!絶対絶対やり遂げます!!」


真面目二人+面白半分二人+非積極的一人+超嫌嫌一人=笠松の女子嫌い治そうの会


[ 3/15 ]

[*prev] [next#]
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -