平凡で居心地の良い毎日





「正式なマネージャーになる気はないか?」
小堀に聞かれて首を横に振る。
「私はお手伝いとしてサポートしてるだけ。」
雑務が一年の部員だけでなく、二年にも回されているという強豪バスケ部にしては可哀想な話を聞いて私は手伝いを申し出た。最初は仕方なくだった。しかし、回数を重ね部員と仲良くなるにつれ 楽しみを見出し、仕事が落ち着いた今でもだらだらと続けている。
「君がこのバスケ部へ手伝いにきてくれたのも、そうして俺と出会ったのも運命。だからそのまま正式マネージャーになるのも、そうして俺の恋人になるのも運mっ「黙れ森山」
森山の背中を蹴っ飛ばす。「ぷぎゃっ」と情けない声を出し床に倒れる彼を無視して洗い終わったタオルに干すため洗濯機から引っ張り出す。
「でもオ(レ)も椎名先輩が正式なマネージャーになってく(れ)た(ら)めちゃくちゃう(れ)しいっす!!なぁ?なかむ(ら)」
早川の早口も慣れて聞き取れるようになってきた。(あと早川の天使具合に気付いた)
「....まぁ....はい。嬉しいですよ。先輩。」
顔を覗き込まれるが、
「中村....顔あんま嬉しそうに見えないよ」
「そうですか?」
「そうですよ!」
「まぁ一番嬉しいのは笠松先輩でしょうけど。ねぇ 先輩?」
「バっお、オレに話しふふ振んなっ」
顔を赤らめ目を白黒させる笠松。
「笠松。アンタいい加減女子に対する苦手意識治せよ。」
「ウウウウルサイ」
初めに比べればマシになったけどさ。目も合わせず、「あぁ」と「違う」しか会話してくれなかったときを思い出す。
「おーいお前らさっさと集まれよー。練習始めんぞー。」
三年の先輩の呼び声が聞こえる。
「ほら、IH近いんでしょ?私を構ってるヒマがあるんだったら練習して来い!」
五人を送り出しため息を一つ。正式なマネージャーにならない理由は、私がどこまで本気になれるかわからないからだ。今の海常高校バスケ部はIH優勝すら望める過去最高のメンバーらしい。本気で優勝を狙ってるし、そのために努力も重ねている。その中へ大した覚悟もしていない私が入って邪魔になることを恐れている。
「うだうだしてても始まらない!さぁ仕事仕事っ」
タオルを終わり、私はドリンクを作るため体育館へ向かった。


ただ平凡で居心地の良い毎日を壊したくないだけ



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