雑文章なので後で直します。





賑やかに鳴り響く機会音。周りをキョロキョロ見回す花城に
「逃げないから手を放してくれ」
と頼む。
「わかりました。....ゲームセンター初めてです。すっごく煩いですね〜」
「町の思い出作りにゲームセンターってどういう事だ」
「両親に禁止されてる事もこの際やっちゃおうかな?と」
相変わらずキョロキョロと落ち着かない花城に
「で、何をするんだ」
と開放された手首を回す。強く握り過ぎだバカ。
「えーと、何て言うんですかね?ウィーンガシャンってぬいぐるみとか取るヤツ」
腕を真っ直ぐ伸ばし、手のひらを開いたり閉じたりする姿に
「UFOキャッチャーか」
と尋ねる。
「そうそう それです!」
「奥にあるぞ」
部活帰り原やザキと一緒に来たことがあるからな。UFOキャッチャーはやった事ないが。





「もう諦めたらどうだ?」
「イヤです!あともう少し....」
クレーンの前で四苦八苦する後ろ姿を見つめ、ため息をつく。引っかかったのは最初の一回だけで残りは全くかすりもしない。
「はぁ。貸せ」
花城を押し退け、代わりに100円玉を投入。軽快な音楽と共に動き出したクレーンを見つめる。ガラスに映った花城も食い入るようにぬいぐるみを見つめていた。チェーン部分に引っかかり 受け取り口まであと少しという所で、
「....」「あ」
ポトリと落ちたぬいぐるみ。
「ふ、古橋君、貸せってカッコつけたのにっ」
プルプルと笑いを堪えるように震える花城を小突いて睨む。ムカつくからもう一度100円玉を投入。




「....古橋君。もうその子いいですよ?」
「煩い」
6度目の挑戦に失敗して、 もうこれは意地だ。聞き飽きた軽快な音楽に苛立ちを募らせる。
「わあ!引っかかった!」
上がって来たクレーンには一個のぬいぐるみ。落ちるなよ....と祈るように見つめる。花城もはしゃいでいたのが嘘のように手を組み固唾を呑んで見守る。
「........取れた」
受け取り口から取り出したぬいぐるみは....。
「「........」」
花城の欲しがっていたものとは違った。それどころか欲しがるヤツがいるのか?とうたがいたくなるほど不気味な、クマと呼んでいいのか分からない物体。
「「........」」
オレの手の中にいるコイツをどうしたらいいのか。
「....もう一度」
「いいです!」
財布に手を伸ばしたオレの腕を掴んでぬいぐるみを奪う。
「この子がいいです」
「お前、変わった趣味だな」
「古橋君が取ってくれた子ですから!」
大事にしますね とポシェットに嬉々として付ける花城を目を細めて見つめる。

「この子取るのに二人でいくら使ったんでしょうねー?」
「やめろ、考えたくない」
「あ!古橋君!アレやりましょうよ アレ、プクリラ!!」
「...プリクラ。だろう?」
「そうそう、それです!」
「嫌だと言ってもどうせ無理矢理撮るんだろ」
「えへへ〜」
がっしりと掴まれた腕に抵抗する事はもう諦めた。




『どのモードにする?』
「うわっしゃべった!」

どちらが金を払うかで揉めに揉めた末、
「私が無理矢理古橋君を連れて来ちゃったし、ぬいぐるみも取ってくれたし、お礼だと思ってください!」
とすごい剣幕で詰め寄られ 花城が支払う事になった。

「古橋君しゃべりましたよ!?」
「最近じゃスマホもしゃべるだろう?」
「そうですけど」
『肌の明るさを選んでね』
「え”!?古橋君コレ何ですか?」
「自分の理想の肌の明るさが設定できる」
「すごい...デカ目って何ですか?」
「補正機能だ。目が普通より大きくなる」
「へぇ。じゃあデカ目にしましょう」
「バスケ部で撮ったとき花宮だけやたら大きくなってな」
「まこ 目大きいですもんね」
「原は変わらなかったがな」
「あははっ一哉前髪長いですしね〜」
「“かずや”?」
「アレ?原って一哉ですよね?」
名前呼びなのか。花宮は親戚だから分かるとして....
“友達”、“恋人”の選択で迷わず“恋人”を押そうとした花城の手を掴み“友達”を押す。
「古橋君ひどいです!」
「お前はどうして友人の段階を飛ばして恋人になろうとする?」
「確かに...じゃあ私を2番目の友達にしてくださ...『二人仲良く同じキメポーズ!』はい!?キメポーズ??」
変わらず2番目なんだな。慌てふためく花城を横目に無難にピースをしておいた。

「うわー...私ぶれてる」
「ふっ」
「あ!古橋君 その顔のままでいてください」
「無理だ」
「良い笑顔だったの『3,2,1』えええ!?」
『こんな感じに撮れたよ』
「次の撮影に移るの速すぎでしょ。私またすごい顔してるし」

『バーン!狙った獲物は逃がさない』
「よ、よし 次こそ」
提示されたポーズ通り指でピストルを作り身構える花城を冷めた目で見る。
『こんな感じに撮れたよ』
「え?ちょっと古橋君これ酷すぎません?私すごくイタい子になってますよ」
「実際そうなんだから仕方無い」
「鬼」
膨れた頬をつつくと ふすーっと間抜けた音が鳴った。
「ふ、古橋君っ」
顔を赤らめる花城に「ふっ」と笑う。
『3,2,1』
「「え?」」
『こんな感じに撮れたよ』
映し出された写真に二人で固まる。なんだこれ、ただのバカっぷる...。

『上目遣いでかわいくポーズ』
正常に働かない脳でタイミング悪くシャッターを切ったカメラを睨みつける。
『こんな感じに撮れたよ』
肌の色の補正がかかっていても分かる程赤い互いの頬に 落書きで付け足したと言い訳しよう と一人結論づけた。
「うわー古橋君美人ですね。上目遣いが女子の私よりかわいい」
上目じゃなくて睨んだんだが。もういい。ここまで来ればヤケだ。

『最後は仲良くギューっとハグ』
「ははははぐ!?」
更に顔を赤らめて目を白黒させる花城の腰を掴む。
「これって“友達”を選択しましたよね?どうしてハグ?って言うか古橋君、よく考えたら別にこの機械の言う事聞かなくても良いんじゃ」
「ここまで来たらやり切るしかないだろう?」
「へ?何何何?どうして?何が古橋君のやる気スイッチを押したんですか!?うわっちょ 近い近い近い!!」
暴れる花城の肩を引き寄せる。ポスンとオレの胸に頬を押し付けた間抜け顔とカメラからの映像越しに目が合った。
シャッター音と出された写真。
「私カメラ目線じゃありません」
「花城がカメラ目線なのはイタいポーズをとったあの一枚だけだ。」
「言わないでください!」
『落書きコーナーに移動してね』
の誘導に従い荷物を持ってボックスから出る。


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