雨は嫌いじゃないが登校中は鬱陶しい。鞄や制服はどれ程気を付けても必ず濡れるし...。極力濡れないよう注意を払い水溜まりを避けて歩いていると 目の前に派手なレインコートと左右色の違う長靴を履いた花城が水溜まりに足を突っ込んで走り回っていた。関わるのは面倒だ。ただでさえ雨に濡れて気分は下がり気味なのに 朝からあのハイテンションの声を聞く気力なんて無い。遠回りしようかと一歩後ろへさがったとき
「古橋君 おはようございます!」
見つかってしまった。バシャバシャと駆け寄ってくる花城に顔を顰める。おい 跳ね返ったしぶきにズボンの裾が濡れてしまっただろうが。
「今日も良い天気ですね。草木が喜んでます!」
「そうか」
触らぬ花城に面倒無し。意味の分からない言葉をスルーしてそのまま朝練へと向かう。



昨日の土砂降りが嘘のように晴れ渡った青空。少し晴れ過ぎだ。蝉の鳴き声の中、首を伝う汗を拭うと昨日水溜まりで遊んでいたのと同じ所に花城がいた。地べたに寝転んで。
「......何をしてるんだ?」
「あ!おはようございます、古橋君!いやー、今日も地球が回ってるなぁと実感してたんです!」
「意味が分からない」
「どうです?古橋君も」
「『も』ってオレがやる訳無いだろう?」
楽しいですよ〜 の声を背後に聞きながらそのまま朝練へと向かう。



相変わらずの暑さの中いつもの場所に立っている花城の手には向日葵の花輪があった。どうやって作ったんだ?
「古橋君、おはようございます!」
「...ああ」
「そしておめでとうございます!」
満面の笑みで首にかけられた花輪に
「は?」
眉をひそめる。
「今日の『おはようございます』は7回目なんですよ〜」
「どうして7なんだ?中途半端な…」
「7は古橋君の背番号ですから!それに全ての事が記念すべき一回目で最後の一回なんですよ?」
「うざい...」


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