「旭ーっ」
「永吉パス」
「は?うおっ」
私につっこんで来たコタをよけて 後ろを歩いていた永吉に渡す。
「ギャーゴリラーきもい〜!!」
「お前からつっこんで来たくせに」
ギャンギャン騒ぐ二人をBGMにレオちゃんの元へ。
「レオちゃん 今日も頑張ってね」
「ありがとう。アナタに言われたら俄然やる気出ちゃう。」
ふふふ と笑うレオちゃんからマイナスイオンが出ている気がする。一日中コタに振り回された疲れを取ってもらおうと笑顔を焼き付ける。私の癒し。
「もうっ旭ちゃん。そんなに見られたら恥ずかしいわよ」
「ごめんなさい。でも綺麗な人ってみたくなっちゃうでしょ?」
「それを言ったら私だって可愛い旭ちゃんを見ていたいわ〜」
「レオちゃん 女の子口説くの上手だよね」
「あら、本心よ」
みるみる浄化されてく。来年は絶対レオちゃんと同じクラスがいい。て言うか今、この瞬間からコタと入れ替えてほしいよ。
「旭旭!オレにも頑張ってって言ってよ」
「...」
「無視!?ひっどーい。ねー旭〜」
名前呼びに変わっても、旭旭しつこくつきまとってくるコタの対処法を誰か教えて。とりあえず今は“無視をする”を実戦中。
「旭〜 ねぇオレの事見てよぉ」
(無視だ。頑張れ私)
「旭...」
(う”っ)
「ぐすっ」
鼻をすすりながらスカートのすそを引っ張るコタに垂れ下がった耳としっぽが見えるのは私だけじゃないと思う。私より身長高いくせに上目使いって何なの?
「ううぅ オレにも...」
あぁ 今日も負けてしまった。
「頑張って、コタ」
「うん、頑張る!」
パァっと目を輝かせた犬っ...いやコタの背中を押す。
「早く行ってこい」
「は━━い」
やれやれと肩を落とすと永吉が何か言いたそうにこちらを見ていた。
「なーに?永吉?」
見上げると
「あ━━━」
とか
「う━━━」
とか言ってから
「やっぱ何でもねぇ」
とコートへ入って行く。その後ろ姿に
「永吉頑張ってね!!」
と声をかければ ギョッとした顔で振り向いてから、
「おう!」
と満面の笑みで答えてくれた。レオちゃんが何やら永吉の横腹をつついている。
「うるせー」
と振られた手を上手によけて、私と目が合うとウインクを送ってくれた。レオちゃん...あざといよ。




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