涙で霞んだ視界がチカチカとフラッシュを焚かれた様に点滅しだした。限界が近い。全体重を首に掛けてくる真に訴えかける為、最後の力を使い 彼の腕に添えていた手を上げ、とん と叩く。ぼやけた視界の中で真の影がびくりと動いた。のろのろと腕から力を抜き、私の上から起き上がる。
「ゲッホゴッホゴッホ....う”ぇ」
体に足りなくなった酸素を取り入れる様に咳込む。
「あ”....」
涙と鼻水と涎に塗れた不快感に顔を歪めると真が顔を寄せ、
「....」
無言で舐め取り始めた。されるがまま身を任せる。満足したのか、暫く続けるとタオルを引っ張り出し、拭ってくれる。
「最初からっそう、す、れば....いいじゃない。」
荒い呼吸を鎮めようと大きく息を吸う。
「汚いよ」
ふーっと息をついて真を見上げる。
「千夜が苦しんだ結果 生成されたものだろ?」
するりと頬を撫でて目の端に残っていた涙を救い取り、口へ運ぶ。
「汚く無い。」
微笑んだ顔は私が一番好きな表情で、
「ふはっエロい顔してんじゃねーよ。」
自然と期待する体。真は目敏く私の変化に気付いた模様。流石私の彼氏様。だけど…
「真だって勃たせてるじゃん。」
膝を折り曲げ、真の足の間に押し込む。私だって真の彼女なんだから。
「もう一度、する?」
精一杯甘えた声を出せば、真はまた 私の首に手を伸ばしてくれた。
「んくっ」
容赦無く力を込められて、みるみる酸素がなくなって行く。じわりじわりと涙が溢れて来る。涙の向こう側で真の瞳が光っているのを見つめ続けた。酸素を求めようとはくはく口を動かすと
「今の千夜の表情好きだぜ。」
と囁かれて、お腹がキュンと締め付けられた感覚に身を震わせる。私も今の真の顔 好きだよ。
「そーかよ。変態だな。」
その変態を彼女にしてる真は?
「俺は自分が歪んでる事に気付いてる。」
異常者同士お似合いだね。
「そうだな。お前は誰にも渡さねぇ。」
私を受け入れてくれる人は真ぐらいだよ。
「俺もだ。」
キスしたい。
「我が儘」
真は私の口から伝い出した涎を舐め取ってから噛み付くようなキスをくれた。真のキスに酔っているのか、酸欠に体が限界を訴えているのか わからない境界線をさ迷い、私は意識を手放した。




あっぱく 【圧迫】
@押しつけ迫ること。
おさえつけること。
B威圧すること。



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