※捏造有り









醜い子。近付かないで頂戴。

小次郎とは全然違うわね。

触らないで。病気がうつったらどうするの。













こんな子生まなきゃよかった

















天然痘により失明したこの右目を見る度、母さんは俺を遠ざけた。そして数々の罵詈雑言を浴びせ、俺を倉に閉じ込めた。真っ暗で何も見えなくて、本当に怖かった。泣いても誰も助けに来ない。此処から出してと叫んでも、俺の声が倉に反響するだけだった。











生まれてきたことを後悔なさい。

私だって望んで貴方を生んだ訳ではないのよ。

その目で私を見ないで。汚らしい。













母さんは弟の小次郎にたくさん愛を注いだ。俺なんか眼中にない。俺は離れた所から二人を恨めしげに見ていることしかできなかった。いつだったか俺の視線に気付いた弟が、口を動かしてこう言った。













死 ね ば い い の に

















俺が15の時だった。母さんが珍しく、俺に食事を作ってくれた。俺は嬉しくて何の戸惑いもなくそれを口に運んだ。


母さんが密かにほくそ笑んでいるとも知らずに。


嚥下すると同時に喉が焼けるように熱くなった。更に頭痛、眩暈、嘔吐に襲われ、俺は急いで廁に行って吐いた。そして気付いた。


これは毒だ。
母さんは俺を殺そうとしたんだ。



医師から解毒剤をもらったから命は助かった。だが、母さんが俺を殺そうとしたという事実に俺は目を背けたくなった。とうとういらなくなったのか、俺は。醜くて汚い俺に、もう用はないのか。

俺はもう全てがどうでもよくなって、

全部壊してやろうと思った。












やめて!小次郎に何をするの!!

うるせぇ!俺は決めたんだ、てめェから何もかも奪ってやるってな!!

に、兄さん、悪かったよ、謝るから…

黙れ。お前に兄さん呼ばわりされる筋合いはねェ。実の兄に死ねっつった弟は今ここで死んでもらう。

やめなさい!!小次郎を離して!!私が悪かったから!!

そうだてめェが全部悪ぃんだ!!!俺を邪魔者のように扱い更には毒殺しようとした!!あんたが!!全て悪い!!だから今あんたの大事な大事な息子を殺してやる。

政宗…!!

気安く名前を呼ぶんじゃねぇよ。俺はもうあんたの息子じゃねぇ……『伊達政宗』という一人の男だ!!!!!















俺は実の弟を殺した。母さんの目の前で。反省も後悔もしていない。ただ、弟の屍の前で泣き崩れる母さんを見た時、少しだけ、心が傷んだ。そして、小さく呟いた。














生まれてきてごめん、母さん



















今でも右目が疼く。もう光を見ることのない、右目が。そんな時は、左目で涙を流す。

右目の代わりに、沢山の涙を























筆頭の過去調べたら泣きました。ガチで。