「そういえばさ、旦那達は何の部活入んの?」
放課後、帰り支度を整えた政宗と幸村に佐助は声をかけた。
『部活?』
「そ。転校初日だからまだ何の部があるかわかんないと思うけど、目星は付いてんのかなって」
「目星、ねぇ…」
二人は暫く考えた後、互いを見た。
「真田、お前は決まってんのか」
「いえ。政宗殿は?」
「No」
どうやら二人ともまだ決まっていないようだった。
「まだ決まってないんだ。まあそりゃ来たばっかだしね〜。なんなら、俺様の部に見に来る?」
「佐助は何部でござるか?」
「バスケだよ。因みに風魔もね」
丁度こちらへ来た風魔の肩に手を置く佐助。
「で、どうする?」
「…一応行ってみるか」
「そうでござるな」
二人が頷いたのを見て、佐助はじゃあ早速行こうか、と二人の肩を押した。
「ここの体育館って結構広いんだな」
「まぁ私立ですし」
佐助に体育館の隅で待てと言われた二人は、佐助が来るのを待ちながら他の部の様子もちらちらと見ていた。
「あっちにはpoolもあるんだってよ。んで、水泳部のcaptainは元親らしいぜ」
「戦国時代では海賊だった故、妥当でござろう。あ、あちらのコートでバレーをしているのは孫市殿では…?」
「お、ほんとだ。銃を乱射してたあいつがバレーとはな…まぁ似合っt」
バシィン!!
「……Ah…いいplayerになれるな…」
「………同感でござる…」
孫市の強烈なアタックを見て口元を引きつらせた二人。そこへ、ウォーミングアップを済ませた佐助と風魔が戻ってきた。
「お待たせ〜…って、どしたの二人共。なんか顔が引きつってるけど」
「…佐助…孫市殿に逆らうでないぞ…」
「報復が怖ぇからな…」
「は?」
尚も怖がる二人を不審に思いながらも、佐助は手に持ったバスケットボールを抱え直して二人に言った。
「取り敢えずさ、試合見てみる?今から練習でやるんだけど」
「見とうござる!佐助と風魔殿の雄姿をこの目に焼き付けようぞ!」
「忍二人の腕がどんなもんか見てやるよ」
「ちょっとそんな盛り上げないでよ〜。それに今俺様達忍じゃないからね」
と、言いつつもはにかむ佐助。
「じゃ、見ててね〜」
元忍二人はコートの中心に集まる仲間の輪に入っていく。そしてチーム分けをした後、両チームは各ポジションについた。
「お、猿と風魔同じteamだぜ」
「最強タッグですな」
幸村がそう言った直後、試合開始のホイッスルが体育館に鳴り響いた。
「お二人さーん、どだったー?」
試合を終えた佐助と風魔が、唖然としている二人に近付く。
「………あり?何があったの旦那達」
「…お前ら…すげぇな…」
「…最強どころか神の域でござる…」
二人が驚くのもその筈、佐助と風魔は二人で次々と点を入れていたのだ。パス回しも早く、ダンクシュートも華麗に決めていた。
「やめてよ旦那達!んな褒めたら俺様照れちゃうっ」
「………」
万更でもない顔をする佐助と風魔。
「どうするー?まだ見てく?」
佐助に言われた政宗と幸村は、顔を見合わせて暫く考える。
「……いや、いいわ」
「他の部活も見てくるでござる!」
「そか。なら気が向いたらまた来てね」
「OK」
「あいわかった!」
佐助と風魔に別れを告げ、二人は体育館を出た。
「…マジすごかったなあの二人…」
「はい…流石は元忍者ですな」
先程の驚きも冷めぬまま次に二人が向かったのは、野球部やサッカー部がいるグラウンドだった。
「実は某、前の学校で野球をしていまして…」
「really?」
「はい。政宗殿は?」
「俺はサッカーだったな。前の学校のサッカー部はすげぇ弱かったけど」
「某も、甲子園など夢のまた夢でござった…」
昔を思い出してはぁ、と溜め息をつく二人。そこへ、ある声が聞こえてきた。
「何をしておる!!しっかり取らぬか!!」
「………え?」
「しっかり走れ!!ボールに食らい付かねぇか!!!」
「………Ah…?」
二人がその声のする方へそれぞれ目を向けると、そこには―……
「むぉおおお館さぶぁああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」
「小十郎おぉおおぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!」
二人が一番会いたかった人が、そこにいた。
会いたかった
(Yes!君に〜)
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