「こんな大人数で飯を共にするのは初めてでござるな」

昼休み。3年2組の面々は机を寄せ合って昼ご飯を食べていた。勿論嫌がった者(毛利とか三成)もいたが、政宗と幸村と絆信者の家康が輪の中に入らせたのだ。何故このようなことになったのかというと、政宗と幸村が、皆が今まで現世でどのような人生を送ってきたか知りたかったからである。

「だな。で、誰からtalkingするよ」
「独眼竜さん、言い出しっぺの法則というものを知ってるかい?」
「…me?」

皆は政宗の方を見て、彼が話しだすのを待っている。

「…OK…わぁったよ」

政宗は溜め息をつき、パンを頬張りながら語り出した。

「俺は前世では奥州筆頭伊達政宗として名を挙げてきた。ガキん頃に天然痘にかかって右目を失明した時から母親に疎まれ、毒殺されそうになったこともあった。だが今は違う。俺の今の父親と母親は優しい人で、何より俺を愛してくれた。俺がここに転校してきたのは、父親の仕事の転勤が理由でさ。前の学校は面白くなかったし、丁度いいと思ってな。転校生は俺一人かと思ってたらそうじゃなくて、俺と前世で相討ちした真田幸村もここに転校してきていたんだ。俺は真田を見た瞬間、何故か懐かしい想いに駆られてな、名前を聞いたら一気にrememberだ。で、今に至る」

ちらりと幸村を見てアイコンタクトを取り、政宗は話を終えた。

「よかったな、今度は家族に恵まれて」

元親が笑顔で政宗に言うと、政宗は小さな笑みを浮かべて頷く。

「でさぁ、一つ気になったんだけど…」

と、佐助が自作のきんぴらごぼうを摘みながら政宗に問う。

「竜の旦那って今も右目失明してんの?」
「あ?してねぇが…」
「なら怪我してるとか?」
「No」
「じゃあ何で眼帯付けてんのさ」

確かに、と皆が頷く中、かすがが続きの言葉を紡いだ。

「お前は真田に会うまで前世の記憶がなかったんだよな?」
「あ、あぁ」
「では何故失明も怪我もしていないのに眼帯をしている。何もないならつけなくていいだろう」
「……そういや、そうだな」

政宗はひとしきり考え、

「…いや、何か付けなきゃいけない気がして」
「どんな使命感?(笑)」

佐助から突っ込みを受けた。

「まぁ、俺のことはどうでもいいんだよ。次はお前だ、真田」
「うむ」

幸村は一旦箸を置き、手を膝に置いた。

「…某は、前世はお館様に仕える一武将として槍を奮ってきました。某が武田の総大将となってから数年後、お館様は静かに息を引き取られ、お館様が夢見た天下統一を果たそうと、某は日本中で戦いました。ですが、途中で我が従者にして一番の理解者である佐助を失ったのでござる…」

ちら、と佐助を見れば、佐助は少し悲しそうな笑みを浮かべていた。

「……いつまでも悲しみに暮れるわけもゆかず、某は永遠の好敵手の政宗殿に決闘を申し込みました。そして先程政宗殿が申した通り、某達は相討ちしてこの世を去りました。来世でまた会おうと約束をして…」

今度は政宗の方を見る幸村。政宗は、そうだったなと幸村に返す。

「今の某はごく普通の家庭に生まれ、前世は兄上がおりましたが、今は姉上がおりまする。前は家族と一緒に過ごす時間が少なかった分、現在は沢山家族と過ごせる故、とても幸せにござります」

ふぅ、と幸村が息を吐くと、お疲れ様と佐助が言った。

「すみませぬ、某の話が長くなってしもうた…」
「いいよいいよ!お疲れさん!で、俺も思ったんだけど…」

慶次が朗らかに笑って労いの言葉をかけた後、幸村に問い掛けた。

「幸村は何で今でも鉢巻きしてんだい?」
「えっ」

そういえば、という顔をする幸村。

「……何か、この鉢巻きをしめなきゃいけない気がして…」
「だからどんな使命感なの(笑)」

またも佐助が的確な突っ込みを入れる。そして箸を置き、

「んじゃ、次は俺が行きますかね」

今度は佐助が、皆に向かって話し始めたのであった。











佐助が話し終わった後も、それぞれ今までどうしてきたか経緯を話してゆく。やはり全員何らかの使命感に駆られたらしく、前世の名残が見受けられた。そして最後の一人が話し終わった瞬間、

キーンコーンカーンコーン…

丁度予鈴が鳴った。

「皆…Thanksな。話を聞いてくれて」
「こちらこそありがとう。このような機会を作ってくれて」

家康が政宗に向けて言ったのを見て、所々からありがとう、と声が上がる。

「てかよ、どうでもいいんだけどさー、」

突然、武蔵がにししと笑いながら言った。

「こんな光景、戦国時代じゃあり得なかったよなー!」

その言葉に、クラスにいた誰もが笑った。




今だからこそ
(ラブ&ピースが一番)





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