漸く輪のなかに入れてもらった政宗は、皆と再会を分かち合った。
「久しぶりだね竜の旦那!」
「まさかこんな風に再会するとはねぇ」
佐助と慶次が笑う。
「だな。で、お前ら、いつ記憶が戻ったんだ?」
「俺ァお前さんが扉開けて閉めた時だ。なんかピンと来たんだよ」
「俺様は真田の旦那を見た時かな」
「俺も俺も!いやぁびっくりしたねぇ…」
「私も真田を見た時だ」
「我もぞ」
他の人も、幸村を見て思い出したと頷いた。
「あ、あれ…俺見て気付いたの…元親だけか…?」
政宗は皆を見回したが、やはりうん、と頷くだけだった。
「……元親ぁあああああばばばばばば」
「あーはいはい泣くな泣くな」
抱きついた政宗を優しくあやす元親。
「…なぁ、三成」
「…何だ、家康」
「…独眼竜はこんなキャラだったか…?」
「…知らん」
さすがの家康と三成も、この時ばかりは馬が合っていた。因みに、政宗で気付いた人はちゃんといたわけで、後にそれを政宗に言うと鼻声で「Thanks…」と言われたらしい。
「あー…皆、感動の再会のところ悪いが、席についてくれないか」
利家が苦笑いを浮かべて一同に言った。
「つーか担任トシじゃん!」
「…市…気が付かなかった……」
「まあ記憶がなかったから当たり前だな。取り敢えず席着けよー」
政宗と幸村以外は全員席に着き、二人は前に並んで立つ。
「えー…なんか変な気分だが…転校生の伊達政宗くんと真田幸村くんだ」
「Hello」
「お久し振りでござらぁああぁぁあああ!!!」
政宗が軽く手を挙げたのに対し、幸村は深々と頭を下げる。
「つかよ前田、色々と聞きたいことがあるんだが」
「何だ?」
政宗は、教室全体を見回して言った。
「なんか生徒数少なくね?俺が前にいた高校じゃ、この二倍はdeskがあったぞ」
確かに、大抵の学校では40人ほどいる生徒が、この教室ではその半分ほどしかいない。
「あぁ、この学校は生徒数が少ないんだ。だからどの学年のクラスも20人ほどしかいないんだぞ」
因みに女子も少ないぞーハハハと付け加えて利家は説明した。
「あ、でも今日休みの奴が三人いるな…竹中殿と小山田殿と小早川殿だ」
「半兵衛が!?」
「小山田殿ぉ!?」
「金吾ぉおぉおおお斬首!!!」
慶次と幸村と三成が揃って声を上げる。
「旦那、小山田って…」
「うむ、小山田信茂殿は俺の部下だった。まさか小山田殿もこのクラスにいるとは…」
「……半兵衛も…いるのか…」
「金吾おおおおおおおおのれええええええ」
嬉しそうにする幸村と、肩を落とす慶次と、ぎりぎりと歯軋りをする三成。
「…ま、まぁ、取り敢えず、二人の席を決めなきゃな。えーと、空いてる席は…」
利家が空いている席を探していると、窓際二列のそれぞれ最後尾に座っている佐助と元親が後ろを指差した。
「前田せんせー、俺様達の後ろの席空いてまーす」
「おぉ!そうか!じゃあ早速着席してくれ」
「OK」
「あいわかった!」
政宗は窓際の一番後ろ、元親の後ろの席に、幸村は窓際から二列目の一番後ろ、佐助の後ろに座った。そして必然的に隣の席になる政宗と幸村。
「よろしくな、政宗」
「よろしくね、旦那」
二人からの言葉に、政宗と幸村は笑顔で頷いた。
隣同士あ・な・た・と
(あーたしさくらんぼー!)
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