20XX年 6月上旬

「ここが…婆裟羅高校…」

校門に立ち、校舎を見上げる一人の青年。赤い鉢巻きをぎゅっと締め直した彼は、

「よし」

と気合いを入れると、学校に足を踏み出した…











「失礼します」

職員室に入ると、青年は一人の教師に声をかけられた。

「お、真田!こっちだこっち!」

手招きしたのは、20代後半と思われる気前のよさそうな教師であった。

「ようこそ婆裟羅高校へ。俺は3年2組の担任をしている前田利家だ。よろしくな」
「よろしくお願いしまする」

握手を交わす二人。

「真田は上田高校から転校してきたんだったよな?」
「はい」
「大丈夫だ、俺のクラスは皆優しい奴等ばっかだからな。友達なんてすぐにできる」
「…はぁ」

バシバシと肩を叩く利家に少々困惑気味な青年。

「あ、そうだ。実は真田の他にもう一人転校生がいるんだよ」
「え?」
「もうすぐ来ると思うんだが…」

その時、職員室の扉がガラガラと開かれた。

「おっ、来た来た。おーいこっちだ!」

入ってきたもう一人の転校生を見た青年は、何故か『懐かしい』という想いを抱いた。

(初対面のはずなのに…この感情は何だ?)

段々近付いてくる転校生を見て、その想いは次第に大きくなった。

(何か…何かが引っ掛かる…)

彼の前に立った転校生を、利家は明るく紹介した。

「真田、奥州高校から転校してきた伊達政宗君だ。仲良くしてやってくれ」
「ども」

小さく会釈した転校生。彼も、自己紹介をしようと口を開いた。

「初めまして、上田高校から転校してきた真田幸村です。よろしくお願いいたしま……」

(…待て……『伊達政宗』……?)

名前を聞いた時から違和感が更に増していた青年――幸村は、言葉を止めて考え込む。

(この容姿も、声も、名前も…俺は知ってる……!ッ!!)

ドクン、と心臓が鼓動した。どうやら相手も、自分の中の『何か』に気付いたらしく、ハッと目を開いて幸村を見ている。




















『……今度は……戦がねぇ…平和な時代に…うまれてきてぇな……』












「…ま……まさか…」
















『…そのときは…政宗殿と…皆と…いっしょに…笑いあいとう…ござる…』











「て……てめぇは……」













『また…来世で…』




















「真田幸村ぁぁぁぁ!?!!?」
「政宗殿ぉぉぉぉ!!?!?」




初めまし…アレ?
(まさかの輪廻転生)






「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -