二年、一年の100m走が終わった後、男子女子の順で持久走を走ることになっている。ちなみに男子が1500m、女子が1000mである。

【プログラム6番は、男子持久走です。出場する生徒は入場門に並んでください】

放送がかかり、各団の選手が入場門に並ぶ。二組からは、赤団は幸村と風魔、青団は忠勝、黄団は慶次と家康、白団は元親が出場する。どれも持久力に定評がある選手ばかりだった。
そして誘導係に誘導され、本部前のスタートラインに並ぶ選手達。

「忠勝、お前には負けないぞ!」
「………!」
「よう慶次、さっきの100mでは負けたが今回は勝たせてもらうぜ!」
「それはどうかな元親!」
「風魔殿!共に頑張りましょうぞ!」
「…………」

お互いに声を掛け合う中、団席からは色々な声が飛び交う。

「旦那も風魔も頑張れー!」
「Fightだぜ本多!」
「徳川、前田、我らの誇りに賭けて勝て」
「長曾我部、負けたら斬滅するからな」
「長曾我部、負けたら捨て駒にするからな。つかもう捨て駒だけど(笑)」
「宵闇の羽の方〜!海賊さんなんかに負けちゃ駄目ですよ〜!」

それぞれの団に向かって手を振る選手達。しかし応援の声が何故かどれも酷い元親は、「お前らちゃんと応援しろよ!」と叫んだ。そして白団なのに赤団の風魔のことを応援する鶴姫を睨む。

「鶴の字ィ!!てめェ他の団の応援すんじゃねぇ!!」
「いいじゃないですか!!私は宵闇の羽の方を応援したいんです!!」

きゃんきゃんと騒ぐ二人に、周りは溜め息をついたり苦笑したり。

「なら見てろよ鶴の字!!!俺ァ絶対風魔に勝ってやるからな!!」
「やれるものならやってみなさい!宵闇の羽の方は負けませんから☆」
「んにゃろォ………というわけだ風魔ァ!!俺はお前に勝ぁつ!!!!

勝手に勝負を申し込まれた風魔は、素直にこくりと頷く。

「位置について…」

係員の合図で、皆足に力を込めスタンディングの体勢をとる。

「よーい!」

パン!

乾いた音と共に、一同が一斉に走り出した。
























―――結果…

「ぃぃいぃいぃぃいいいいぃやったアアアアアアア!!!!!!

一番に団席前のゴールテープを切ったのは、最後は気合いで風魔を抜いた元親だった。

「はぁッ、はぁッ、やったぞ、おれ、ふうまに、勝った…!!!」

後から来た風魔が少し悔しげに眉を潜め、忠勝、家康、幸村、慶次も続々とゴールする。
元親は息を整えると、鶴姫に向けてにやりと笑って言った。

「見たか鶴の字ぃ!!風魔に勝ったぞ俺ぁ!!」

しかし言われている鶴姫は、何故か顔を赤らめぼうっと元親を見ている。不思議に思った元親は「おーい鶴の字〜」と呼び掛ける。すると鶴姫ははっと我に返り、次にぷいと横を向いて言った。

「い、いいですもん!宵闇の羽の方は私の中では一番ですもん!」
「ンだとォ!?」
「まぁまぁ元親…」

またも喧嘩になりそうだった為、家康が元親を宥める。

【プログラム7番は、女子持久走です。出場する生徒は入場門に並んでください】

ああだこうだと揉めている内に次の放送がかかったので、選手達は入場門から退場していく。

「いやぁ、にしても凄かったな元親!」
「まさに疾風の如くでござる!」
「疾風っつうかがむしゃらだったよな!」

ハケる際、家康や幸村や慶次が元親に声を掛けた。

「へへっ、俺が本気出しゃあこんぐらい楽勝よ!」
「最後の最後は死にそうだったくせに〜(笑)」
「るせェよ慶次!お前こそスタート前は強気だったじゃねぇか!」

楽しそうに並んで退場する四人を後ろから見ていた忠勝と風魔は、顔を見合わせて小さく笑った。











で、次の女子持久走では。

「まぁああごいちぃぃぃいいいっ!!!俺信じてるからねーっ!!!孫市が絶対に勝つってーっ!!!」

慶次の熱烈な応援を無視した孫市は、慶次が信じた通り一位に輝いた。実は孫市は校内で人気が高く、女子が少ないこの高校では男子の注目の的であり(ちなみにかすがや市や鶴姫も人気)孫市が走っている最中あちこちから団関係なく声援が送られていた。

「うおおおおお姐さぁああああん!!!!」

「頑張って下さい孫市さアアアアアアアん!!!!」

「ぶっぱなせ姉さんんんんんんん!!!!」

「絆の力で1000mを統べるんだ孫市ッ!!!」

「頭領おおおおお援護射撃しましょうかああああああ」

「今の孫市姉さまはまるで紅き風を纏ったトンビのようですぅううっ!!!」


「孫市愛してるよおおおおおおおおおおう!!!!」

こめかみに青筋を立て、苛々しながら走る孫市もかっこいい、と言う輩も少なくなかったという。




体育大会〜持久走編〜
(まさかあんなにかっこいいだなんて、)





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