短編 | ナノ






昨日の夜から神に祈りを捧げ、清く正しい心でいるように勤めた。母に代わりに風呂掃除をしたし洗濯物も干した。夕飯だって作ったし宿題やった後、いつもしない予習と復習もしっかりした。頑張った。

そして今朝はいつもより1時間早く起きて、神に祈りを捧げる。朝食の準備と花の水やりをした。私と父の分の弁当も作った。いつもより念入りに身仕度を整えて、現在にいたる。

そう、今日は席替えの日。

もうすぐ引く順番がまわってくる。平常心、平常心。素数を数えるんだ。

そして私が引く番。

今までの平常心をかなぐり捨て、強く願った。




仗助君の隣になれますようにーーー!




しかし、現実は非情である。

私は一番後ろの窓側の席。仗助君は廊下側の一番前の席。ああもう!神様なんて信じない!と、ふて腐れて外をみた。憎たらしいほどの青空である。

残念な気持ちを抑え切れず、はぁ〜…と大きなため息をつく。


「そんなでっかいため息つくと幸せ逃げるぜー?」


ああ、私は仗助君の声まで幻聴で聞こえてしまうほど重症なのか。こりゃやばい。今日は早退しようかな。


「あれ?おーい、無視かよ〜?」


ポンポンと肩を叩かれ、驚いてバッと振り返る。そこには、睫毛の長い、綺麗な仗助君の顔がすぐそこにあった。


「うわっ!わわわわ!」

「おいおい、大丈夫か?にしてもそんな反応されると凹むぜ……。まぁ、なんにせよ今日からよろしくな!」


驚きすぎて椅子から転げ落ちそうになった私の手を引いてくれた仗助君。そして私の横の席にドカッと座る仗助君。


「えっ、えっ!?仗助君あっちの席じゃ……?」

「俺身長デカイからよー。前にいたら見えねーつーんで移動させられたんだわ。まっ、俺はこの席だと安心して寝れっからいいんだけどな!」


そういって私にニカッと笑いかけてくれる仗助君。
神様、信じないとか言ってごめん。マジありがとう。



そして私はこれを維持するために一日一善をすることを胸に誓った