あのあと、仲間に加わっていた花京院君とも自己紹介を済ませ、みんなのスタンドに名前をつけた。空条君のスタンドはスタープラチナ、ジョースターさんは隠者の紫、アヴドゥルさんは魔術師の赤、花京院君は法皇の緑。そして私の子の名前はラッキードッグだ。なかなか安直である。
そして現在はカイロに向かうための飛行機に乗っている所だ。 仲間の数は奇数であり、私は一人あぶれてしまったため、みんなの後ろの座席である。ちなみに通路側だ。
カイロまではかなり時間があるため、寝ていても大丈夫だろう。みんなに許可を得てから眠りに入った。
クワガタの容姿をしたスタンドが、DIOの手先である灰の塔であるとわかり、花京院が起きてきたジジイに当て身をした辺りで、灰の塔は眠っているミョウジを人質にとった。
「こいつを殺されたくなければお前らは大人しく、今から他の乗客が殺されるのを眺めてるんだな!」
「くっ…」
「一人だけ後ろにしたのが間違いじゃったの…」
俺達が身動きできずにいると、花京院が俺の肩をチョイチョイと突いた。花京院が軽く顎を向けた先には、さっき当て身をされたジジイの何かを食っているミョウジのスタンドであるラッキードッグの姿が。
「うーん、うるさい…」
「ぶべらっ」
きっと、幸運を食べ尽くされたのだろう。ミョウジが寝ぼけて振るった手が何故か透けずにスタンドに直撃した。
「法皇の緑!!!」
「グエッ」
相手のスタンドが怯んだスキに、花京院の法皇の緑が灰の塔の体を貫く。
「ギニャアアアァァァァ」
「さっきのじじいが本体だったのか。……フン。おぞましいスタンドにはおぞましい本体がついているものよ」
「ワン!」
花京院を見上げながら吠えたラッキーの毛並みは、さっきよりも艶やかになっているのに気がついた。
《 》
|