夜勤が終わり、帰って来た所でプルルと電話が鳴った。朝の10時なんですけど…。一体誰よ。と思いながら電話を取る。
『もしもし!ナマエか!?ワシじゃ!ジョセフじゃ!』
「ええ、いかにも私がナマエです。こんな朝っぱらからどうしたんですか?」
『もう朝といいうには遅い時間じゃわい!って、そんなことじゃないっ!ナマエ、今すぐホリ…聖子の家に来てくれ!聖子が……!』
何やらただ事じゃないらしい。ブチッと切れた受話器を元の位置に戻し、チェケラBBを飲みながら聖子さんの家に車を飛ばした。
聖子さんの家に着き、部屋に案内してもらうと、意識を失い辛そうな呼吸をしている聖子さんが目に入った。その隣ではジョセフさんが介抱し、部屋の隅では腕を組んで立っている空条君の姿があった。
ジョセフさんは私の姿を認めると、思い詰めたように、事のいきさつを話してくれた。
「そう…なんですか。そんな事が…」
「うむ、承太郎も今朝敵のスタンド使いに狙われてな。…………こんなこと、ナマエに頼むのは気が引けるのじゃが、今は一人でも人手がほしい。もしナマエさえよければ…」
そう言って、難しい顔で話しを区切るジョセフさんに対して、私はふっと笑い、ジョセフさんの手を握った。
「やりますよ。私、困っている人を放っておけないんです。……それに、ジョセフさんと会った時から何か起こるんじゃないかって思ってたんです。むしろ置いていくなんて言わないで下さいね」
そう、何か起こる気はしていたのだ。厳密に言えば、ジョセフさんに会ってからではなく、犬が部屋にいた時からだが。 そして、私はこんな自分のメリットにならないような事に参加するような人間ではない。ではなぜ着いていくことにしたのか?それは今まで何かひっかかっていた事が、昨日解決した事があるからだ。
……ジョセフ・ジョースター、空条承太郎、DIO…そう、このメンツはジョジョの奇妙な冒険に出てくるキャラクターだ。 イケメンだな、とかなんとなく町の出で立ちが古くなった気がするだとか思っていたがまさかこんな事になっているだなんて。
しっかり読んだ事が無く、なんとなくでしか流れを把握できていないが、アヴドゥルさんと花京院・イギーが死んでしまうということは知っていた。
ここが、私が元いた場所ではないということがわかった時は酷く混乱したが、せっかくこんな世界に来れたんだもの。何かしないと損だわ。人生何事も経験よ!と持ち直したのは記憶に新しい。
握っている手に更に少し力を加え、きゅっと強い眼差しでジョセフさんを見つめる。
「すまんの。仕事の都合についてはこちらから根を回しておくわい」
「ありがとうございます!」
「……にしてものー!ワシもあと10年若かったらのー!」
「?」
きょとん、としている私をよそに、ジョセフさんはいつの間にか近くに来ていた空条君に頭を叩かれていた。
《 》
|