ひたひた、ひたり
顔を冷たいもので拭かれ、そのまま額に乗せられる感覚で目が覚める。俺はどのくらい寝ていたのだろうか。いや、寝ていたという表現も少しおかしいのかもしれない。なんたって俺はきっとあの後炎に焼かれて死んでしまったのだろうから。
ぼうっとする頭で、死後の世界は白いのか、などと考えながら白い空間を見つめる。しばらく白い空間を見つめていると、この空間が真っ白ではないことに気がついた。また、額に何か乗せられていた事も思い出す。額に手を伸ばそうとした時にふと人の気配を感じ、その方向を見遣る。そこにはなんと、シェリーがいた。
「!?…シェリー!?」
「えっ、わあっ?!」
額から何かが落ちる事など気にも止めず、愛しいシェリーに抱き着く。俺よりもずいぶん小さな妹はやはり可愛くて、思わず柔らかい髪に顔を埋めた。シャンプーのいい香りがする。
「なんてことだ……。…夢みたいだ!シェリーにまた会えるなんて……!…やはり、これはもしかしたら死後の世界?なんたって俺はやられちまったからな…。でも、こうして会えたんだから構わないぜ…!」
「ちょ、ちょっとポルナレフさん!」
「ポルナレフさんだなんて他人行儀やめてくれよ!ホラ、兄さんって呼んでくれ!」
ギュッと力いっぱいシェリーを抱きしめる。スリスリとほお擦りをしても、可愛いシェリーのモチモチとした肌は健在だ。わたわたと暴れているシェリーはきっと久しぶりの再会だから照れているのだろう。
しばらく熱い抱擁をシェリーと交わしていると、ガチャリと扉が開くような音がした。そちらの方向へ振り向く前に、俺の頬に衝撃が走る。
「オラァッ!」
「ぶるあっ」
「うわ、空条君落ち着いて!」
ドンガラガッシャーンと、派手な音を立てて壁に身体をたたき付けられる。なんとか体勢を立て直して前を見据えると、そこにはDIOから情報を聞いていた空条承太郎とシェリーではなくミョウジナマエの姿があった。
ああ、俺は夢をみていたのか。
《
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