01 A面



空が青くて綺麗だなぁ
雲が浮かんでかわいいなぁ
思い残すことといえば、あの本の完結まで生きればよかったかな。
そんなことをぼんやり思いながら、もういいや、と靴を揃える。なんで靴を揃えるのかはわからないけれど、まぁとにかく何事も形から入るのは大事だと思う。

さようなら、先立つ不幸をお許しください。
ただ、何にもなれずに生きる意味がわからなくなってしまっただけなのです。
手首を切っても、この衝動は抑えられなかった。はやく楽になりたい、それだけ。

屋上の柵を乗り越え、1歩踏み出す。
どうかうまくいきますように。

ふわ、と重心が前にいこうとしたその瞬間、力強く誰かが私の腕を掴んだ。

「え、」
「バカヤロウ!危ないだろ?!」

大きな声にびっくりしたことと、飛び降り損ねたこと。ふと我に返るとなんだか足がすくんで、力が抜けた。

「おいおいおい…」

その人は私の体を柵の内側に引き戻すように抱きとめる。
あ、なんかこの人見た事あるぞ。クラスは違うけれど、ツンツン頭のひと。

「何があったか分からないけど、命を粗末にするなよ…」
「ご、ごめん、なさい…」

真剣な目でそんなことを言われるとなんだか胸がいっぱいになってしまって、ついぼろぼろと涙が溢れて、こぼれて。

「間に合って、良かった」

もうどうすればいいかわからないまま、私は彼の胸に抱かれて泣き続け、彼はただ、私を宥めるように頭を撫で続けた。


B面













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