よんせんちめーとる番外


「クリスマスはさ、サンタさんがいい子にプレゼントをくれるんだってさ!」
「へえ! じゃあ、一也くんはいっぱいプレゼントもらえるね!」
「え、なんで?」
「だって、一也くんはいい子だもん」
「そんなこと、ないけど……」
「一也くん、転んでも泣かないし!」
「それって、いい子なのか?」
「いい子だよ! 私はいっぱい泣くし。でも、いつも一也くんが助けてくれるの」
「それは、名前のこと放っておけないし。助けるのが当たり前だろ?」
「私が嬉しいからいいの!」
「嬉しいからって……」
「ねえ、一也くん」
「ん?」
「私もね、大きくなったら一也くんのこと助けられるようになるから」
「え?」
「一也くんみたいに、いい子になるから」
「うん、」
「そしたら、一也くんはずっと一緒にいてくれる?」
「っあ、当たり前だろ!」
「そっか! 当たり前かあ……」
「サンタさんがいい子の欲しい物、あげないわけないじゃん」
「そうだよね! 私、頑張るね!」


「――ってこともあったよなあ」
「か、一也くん……な、なんでそんなこと覚えてるの!」
「だって、あの頃の名前、可愛かったし」
「今すぐ忘れて!」
「無理無理」
「ああもう、昔の私が憎い!」
「……ほらな。当たり前だっただろ?」
「……そう、だね。」
「まあ、あの頃の方が素直でいい子だったけどなー」
「一也くんだって、あの頃の方が可愛かったのに」
「は、可愛い?」
「うん。一也くん、可愛かった」
「それ初耳なんだけど」
「あれ、そうだっけ? 小さい頃、一也くんのこと可愛いって思ってたんだよね」
「おかしくね?」
「おかしくないよ。一也くん、私より身長とか小さかったし」
「(背、伸びてよかった……)」
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