御幸


※中学生

「御幸、元気ないね」
「……名字、デリカシーないね」
「うん。ごめんね」
「いや、別に」
「なんで元気ないの?」
「本当にデリカシーないんだな」
「うん。ごめんね」
「……試合、負けた」
「なるほど」
「なるほどって……名字って、訳わかんないよな」
「うるさいよ」
「普通ならさ、次の試合は頑張ってとか言うだろ」
「ありきたりですけど、御幸が頑張ってることは知ってますから」
「う、うるせーな!」
「顔、真っ赤ですよ」
「名字って、本当にデリカシーないよな!」
「よく言われるよ。主に御幸に」
「だろうな!」
「でもさ、負けたっていいじゃん」
「はあ?」
「いや、勝てれば一番だけどさ」
「は? 何言ってんの?」
「私って、結果よりも内容重視派」
「へえ」
「それに、練習試合なんでしょ?」
「まあ、そうだけど」
「それなら尚更だよ。大会だったら結果が求められるけど、練習なんだから!」
「それでも、負けたら悔しいだろ」
「まあ、それはそうだけど。悔しさを次に繋げろって、なんかよく言うじゃん」
「適当だな」
「うるさい」
「名字って、都合悪くなるとすぐにうるさいって言うよな」
「うるせー!」
「口悪いな」
「とにかく! 私は昨日の試合、すごく良かったと思ってるから!」
「はいは――え?」
「え?」
「昨日、観てたの?」
「あ……」
「へえ〜」
「み、観てない! 想像! 想像で勝手に判断したの!」
「ええー。本当かよ?」
「う、うるさい!」
「はは! やっぱ観てたんじゃん」
「ほんっとうにうるさい!」

この後、暫くからかわれた。
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