見上げた夜空は綺麗だった。美しかった。

そんな過去の感動が蘇る。1年前の夜。今は昼間で、太陽が自分の存在を主張していて、月は見える人にしかわからないよう、ひっそりと存在していた。けれど太陽がいなくなった途端に強く主張して、この広い空の中心になってしまうのだ。

この空で一番なのは一体だれだろう?

木かな?鳥かな?月のうさぎ?それともジャンボジェットや衛星とかの科学技術?
これはなかなか難しい質問だ。1年前を脳裏に広げながら何ワケのわからないことをかんがえているのだ、とは思うものの、止められないのは性格に問題があるから。


「今日は晴れてるから、夜は星が見えるかな?」
「見えるに決まってんだろ」
「なんで?」
「オレの誕生日だから」
「榛名くんの誕生日は雨だったことがないのですねさすがさすが、天才なのかな?」
「お前思ってねーくせによく言うな」
「なんのこと?」


自ら話をふっておいて、迷惑なやつである。けどわたしは元希に対しては迷惑なやつでも構わないと自負している。


「1年前のオレのセリフ覚えてんの?」
「忘れる訳ないじゃん」


忘れられたら楽だった。高校3年生、春季大会も終わり、最後の大会に向かって頑張り始めたときの誓いの台詞。あれからもう一年も経ったと思うと、時の流れは随分と早い。

「じゃあ、もう一回言うぞ?」
「うん」


気持ちが空に溶けてまるまって、彼の胸に吸い込まれていって、星みたいに瞬いたらいいな。









by 蒼伊夏生



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