もし、宇宙に行けたらどうする?わたしは北極星が見たいな。ポラリスは絶対に動かないって、有名な韓国ドラマで言ってたじゃない。あれからわたしもポラリスを探すようになったの。暗い空の中で1番綺麗に輝いてる。ねえ元希、あなたは何を見たい?



俺はロマンチストでも何でもねぇし、つうか星とかわかんねえ。宇宙とかも興味ねぇし、あるのはお前だけだよ。道に迷ったら?おれはお前の前を歩くからお前がついてくればいいだけの話だろ。



元希はわたしのポラリスだよ。ポラリスを見つければ迷わない。決して動かない星だから。どこにも行かないわ。わたしはあなたしか見えないもの。



当たり前だろ。



ねえ、でもわたし、元希の後ろじゃなくて元希の隣で歩きたいわ。いつかわたしもあなたのポラリスになりたい。



わたしにとって元希は、たったひとつのよりどころで、光。あの頃のわたしは今とは比べものにならないくらいの暗闇の中にたった一人でいた。野球をして輝いている元希はわたしにとって眩しくて眩しくて。そんなわたしを暗闇の底から引き上げてくれたのが元希。手を引いて明るい世界に連れてきてくれたのが元希だった。元希の隣にいるのを何度引け目に感じたことか。でも、わたしは元希の光に、輝きに惹かれて一度だって諦めることができなかった。眩しいくらいの輝きが温かくて、愛おしくて。愛してる、と言えば眩しい笑顔でおれも、と言ってくれる。少し乱暴で不器用な所も全部微笑んでしまうくらい温かな光にわたしは救われた。


今度は、わたしがあなたの光になる。わたしがあなたを元いたところに連れていくから。だから、お願い。


そうしてわたしは元希の手を握った。








by 青木花乃子



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