5月24日、何時もこの日になると騒がしい奴らが家にやってくる。誕生日というものはやはり特別なんだと実感させられる日、それでもって習慣と言うのは腐れ縁と言うものは面倒で、時には邪魔で、それでも温かいものなんだとも感じさせてくれる日だったりもする。

「はっぴばーすでーもときー」

マンションのベランダから聞こえてきた下手くそな歌を歌うのは俺の幼馴染1号。ちなみに2号の秋丸は後に俺の誕生日会に参加するらしい。俺が聞いているとも知らずにまだ下手くそな歌を歌うのは俺の幼馴染1号。ちなみに2号の秋丸は後に俺の誕生日会に参加するらしい。俺が聞いているとも知らずにまだ下手くそな歌を歌い続けるアイツに俺は思わず苦笑。恥ずかしい奴め。でもそんなところが昔から好きなんだけど。いや、ライクの方で。



ピンポーンと鳴ったインターホンに母さんが動く。俺は読んでいた雑誌を机に置いた。あの歌が聞こえなくなったことだし幼馴染1号がそろそろやってくるんじゃないかと思っていたんだ。予感は的中したみたいで母さんが俺の名を呼ぶ。ドアを開ければやはりアイツが来ていた。


「はぴば!」
「おう‥」

とりあえず部屋に招き入れる。手に持ったプレゼントは二つ。おそらく秋丸とこいつから。勿体ぶるのもどうかと思い、プレゼントを指差せばこいつはああ!と目を輝かせて笑った。

「これ私とあっきーからだよ!」
「ああ、開けていい?」
「どうぞ!」

早速ピンク色のラッピングの方に手を伸ばす、どうやらあいつかららしく頻りに瞬きをしてこちらを凝視していた。何を貰っても別にそれなりに嬉しいし、こいつにはどうも貶す好意は出来ない訳だし。んな心配しなくても大丈夫だっての。

「‥フォトスタンド?」
「うん!元希の部屋一つも無いから私らの写真でも飾ってほしいなあ、と思いまして。あっきーと選んだんだよ!」
「ふーん、飾る写真無えけど‥今度撮るか?」
「うん!」

嬉しそうに首を縦に振るこいつを見て俺も嬉しくなった。確かに部屋は質素だし、写真も撮る方じゃねえし。こういうのが部屋にあるのも良いなあ、と思う。大事にもう一度箱にしまってもう一つの秋丸からのプレゼントに手を伸ばすとあいつがそれを渡すのを拒んだ。

「は?」
「あっきー何買ったか教えてくれなかったから、私が先に見たい!」
「‥別にいいけど」
「ほんと!?」

秋丸には欲しいものは頼んである。風景の写真集を頼んだ。幻想的で、この世界のものじゃないようなそんな景色が好きだからだ。つーか、そんな変なものじゃないんだしなんでそんなに隠す必要があったのか、全然分からねえ。 と思った直後、あいつの眉が急に寄った。ものすごく。

「何これ?」
「何って‥幻想的で綺麗だろ?」
「‥綺麗だけど、綺麗だけど‥」
「は?」

だんだんと機嫌が悪くなるこいつに俺は至極意味が分からなかった。こいつの握力で写真集がねじ曲がりそうだったので奪おうと手を伸ばせば今度は簡単に奪うことが出来た。袋の中からそれを取り出せばあいつがあんなに騒いで機嫌が悪くなった理由が分かった。

「誕生日がエロ本ってどうなの!?」
「‥いや、全く持ってその通り‥‥じゃねえよ!俺だって知らねえ!」
「何で?もときが頼んだんじゃないの?」
「違ェよ!俺そういうのに困ってねえし!」
「‥‥困ってない程沢山持ってるんだね」
「違う!ちょ、こら待て!」

部屋内を鬼ごっこチックなことをしているとドアが急に開いた。そこに立っていたのはこんなことにさせた張本人である秋丸。俺はターゲットをあいつから秋丸に変更してとりあえず頭に一発拳骨を落とす。どういうつもりだテメエ。この問いに秋丸は笑った。

「や、だって榛名が欲しがってた写真集なかったんだもん」
「だもん、じゃねーよ可愛くねえし。お前のせいでドン引きされてるじゃねーか。どうしてくれんだ」
「いいじゃん別に」
「よくねえよ!」
「それよりさ」
「‥なんだよ」


「誕生日おめでと!」
「‥‥」
「‥‥」
「もとき?」
「‥‥‥おお」









by 由貴



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