▼宮緑
シュッ、とリングにかすることも無く入っていく彼のロングシュート。ナイッシュ。俺はそう叫んだ。
「…っ!、みやじ、せんぱい」
「よお」
元気か、なんて、言えなかった。
くしゃりと歪んだ後輩の顔。今にも泣きそうな、彼らしくないその表情に思わず苦笑が漏れる。苦笑の中に混じる甘さはきっと、きっと。
「緑間、おいで」
はにかんで両手を広げると、迷わず飛び込んで来るそいつの背中を抱きとめる。冬にも関わらず、汗のにおいがした。彼の努力の、証。
「みやじせんぱ、せんぱい、せんぱいっ」
あまりにもしゃくりあげる姿が可哀想で可愛くて、慰めようと、大泣きする緑間の、額に唇を寄せた。
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