「あんたね、ホモは美しいものなの、わかる?」
「じゃああそこにいるおっちゃんとおっちゃんがデキてたらあんたは美しいと思う訳?」
「美しいね、歳を重ねても寄り添える熱愛、情愛。ジーザス」
「あんた末期じゃないの!!」
「末期に決まってんでしょ!」

学校からの帰り道、私は友人(腐女子)と言い争いをしていた。題名をつけるならば、『男子の恋愛はいかにも美しいそうそれはまるでホモを表す花、薔薇の如く以下略』である。
ちなみに友人(仮に山田としよう)は末期の腐女子だ。通りすがりの男子高校生2人だろうが三つ巴だろうが、間にちょっと尻軽そうなスカートあげあげ系女子が居ようが関係ない。彼女は妄想に人事を尽くす。

この前、男子高校生2人の間に尻軽そうな女子が居たとき、山田は、
「あれは右の男子と女子がデキてる。でもね左の男子と実は右の男子が浮気してるのよホモうめー」

と豪語なさった。
私はと言えば、間に入ってる尻軽女から見ればださい、ださい、あり得ないと笑われそうな程長いスカートをひらひらとさせながら、流石にそれはあり得ないだろ、と口答えした。

そんなある日、私と山田は下校途中で、またもやホモについてああだこうだと言い合っていた。
ホモセクシュアル、それは神の領域よと山田。ホモセクシュアルだろうがレズビアンだろうが知らないが勝手にCPを作るのは宜しくないと私。じゃああそこにいる自転車男子はどうなるのよってあれ?自転車…あれ?と山田。何よ自転車が…ってあれ、あれリヤカーじゃないの、と私。

そう、私と山田の前に現れたのは、自転車とリヤカーを連結させた乗り物。しかもそこには、美少年。

「ほおおおお!!!美少年きた!!!」
「違うあれはホモじゃない、ホモじゃ…ホモ…」

私は反論できなくなった。
だって、近い。二人の距離が、近い。
スマートフォンを覗き込む緑髪の美形さんと、ちょっとチャラそうな黒髪のイケメンさんが、ずいっと顔を寄せていたのだ。

「……ホモォ」

この光景を見た後にこれを呟いた私を、きっと誰も責められやしない。




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