土曜日5時に神社前に来い

メールが届いたのは今週の月曜日。一見果たし状のような内容は短文だったけれどよく覚えている。丁度その頃、布団に入ってうとうとしていた私はメールを開いた瞬間ギョッとし、少しだけパニックになってからいつからか大変無愛想になってしまった送信者である幼馴染の顔を思い出し、そういえば今週末はお祭りだったかな、という考えに辿り着いた。もっとこう、補足説明を大事にしていただきたいものである。毎度毎度驚かされるこっちの身にもなって欲しい。無愛想で言葉の足らない幼馴染に返事をして、その日はそのまま眠りについた。



毎年毎年、優一さんが入院してからは京介と二人で祭りに行くのだが、実のところ私は今年はもう一緒には行かないと思っていた。もともとどこか無愛想だった私の幼馴染は中学に入ってからさらによそよそしくなり、学校はおろか、例え登下校の時に会っても話すなんてことはめっきりなくなってしまった。私がどれだけの馬鹿でも流石に避けられている相手にわざわざ話掛けに行くほどではないので、5ヶ月もの随分長い間、疎遠だったというのに、だ。

時間よりも早く来ていた京介は私に気付くとスタスタとこっちへやってきて、慣れない下駄を履いている所為でいつもよりのろのろと歩く私の左手を攫ってしまう。急だった為に「あ、」とか「え?」とか、しどろもどろになっている私に「歩きにくいんだろ」とそっけない言葉がかけられる。反対に京介の手は温かくて、なんだかずるい。腹いせに少し強めに握り返してやると、京介の大きな背中が一瞬びくりと跳ねたような気がした。
title by 確かに恋だった



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