なのに、なのにだ。これをどうして、怒らないと言えるだろうか!
「ああ、今思い出してもムカつく…!」
「「あはは…」」
肩をワナワナと震わせる私を見て、2人が乾いた笑いを溢した
「その上、なんでアイツの居る教室に…っつか、なんで指揮者なんだよ!!」
叫ぶと、更に哀れみの目を向けられたからムカついて頭を叩いてやった
「いったー!安仁絵力強いから!」
「つか、なんで僕等を叩くのさー」
「ムカついたから。つか、なんで"僕"なんだよ麻衣」
「…気分?」
「「ハッ…」」
京子とハモって鼻で笑うと、ムカつくーと麻衣が変な声でどっかに向かって叫ぶ
「だから、気が重いんだよ」
「なるほど」
「でもさぁ、そこまで気にしなくても良くない?別に、まだ時間あるんでしょ?」
「あるけどさぁ…」
うんうん、と頷く麻衣
「でもそれまでが気が重いんだよ!」
「「あー、ハイハイ」」
「あしらうな!」
叫びながら、いつの間にか分かれ道に到着
「あ、そっか。お前等塾か」
「そうじゃなかったら、ウチこっち来てないし!」
「ウチもだよ」
私がちょっとばかりボケたことを言えば、元気にツッコんでくる京子と麻衣
「じゃねー」
「「またねー」」
相変わらず声のデカイ麻衣に京子がツッコミながら、2人が暗い道を歩いていく。私もそんな2人を見てから、電車の来る音が聞こえて駅の改札口を走り抜けた。丁度電車が来ていて、私は決して早くは無い足で更に走る。地面を蹴る度にバッグが跳ねて私の腰にぶつかる。痛いけれど、乗り遅れたくは無い。何故なら、現在の時刻は19:00ジャスト。家に帰るまで軽く30分は掛かるので、晩御飯がそれだけ遅くなってしまうのだ
「〜っ!」
1番後ろの車両に飛び乗った瞬間、プシューと音を立ててドアが閉まった(運転手さん、ありがとう!)心の中でお礼を言いつつ、私は肩で呼吸を整える
「はあ…」
そして、ドアに凭れ掛かってバッグを足の間に下ろす。息が整ったところで、電車の中をぐるりと見渡した
「っ!」
思わず息が詰まった。だって、誰も想像なんてしてなかったのだから
「マジ、最悪…」
なんで、よりによって思い出した時に会うんだよ…!!
「生徒会長…」
否、松田悠斗。天国に居るであろうひいひいひいおばあちゃん(会った事もないけど)、今日は厄日です