2011/5/18 小話(藤内→乱♀)
・小話です
・現代パラレル(曖昧)、女体化、成長注意
・仙蔵と伊作(双子)と乱ちゃんが兄妹です。
・でも出てくるのは藤内と乱ちゃん
「…なあ、乱太郎」
「はい、何でしょう、浦風先輩」
暗い影を背負った藤内を前に、乱太郎はことりと首を傾げた。
兄が委員長を務める委員会の一員である彼とは、それほど関わりがあるわけではないけれど、会えば挨拶を交わすし、話もそれなりにする。
仲が良いと言えば、そう言えなくもない、微妙な関係だ。
そんな藤内は今現在、乱太郎が所属するクラスの隣のクラスの生徒たちもかくやと言わんばかりの影を背負っていた。一瞬、具合が悪いのかと思ったくらいである。
しかし、彼は具合が悪いわけではないとため息を吐きながら呟いた。では、どうしましたかと問えば、彼はこう言う。
「乱太郎…先輩と、中学に入学するまで一緒に風呂に入っていたって…本当か?」
「そそそそれ誰が言ったんですか!?伊作兄ちゃんですか仙蔵兄ちゃんですかっ!」
「俺がそれほど繋がりのない伊作先輩から聞くわけがないだろう?…で、本当なのか」
「え、えっと…はい」
乱太郎が顔を真っ赤にしながらもこくりと頷くと、藤内はがっくりと肩を落とした。
慌てて乱太郎は藤内の顔を覗きこむ。
「あ、あの、あの、でもそれは時々ですよ!毎日じゃないです!それに中学に入ってすぐに一緒に入るのやめましたから!」
それでもつい最近まで兄と一緒に入浴することがあったことには違いはない。
子どもっぽいと思われてしまっただろうかと、心の中で兄にどうして話したのよ、もう!と怒りながら、顔を赤くしている乱太郎は気付かない。
目の前で藤内が、仙蔵という壁の高さに改めて気付かされ、絶望していることを。
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頑張れ、藤内。
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