2011/5/16 小話(綾乱)
・小話です
・綾乱
複雑ですね、ぽつりと乱太郎が呟いた。それは空気をささやかに揺らした程度の囁き声であったが、喜八郎の耳はしっかりとそれを拾った。
「複雑って、何が?」
「…いえ、複雑じゃなくて…屈折、屈折ですね。屈折してますよ」
「だから、なにが?」
要領を得ない乱太郎の発言に喜八郎は首を傾げる。乱太郎は、少し怖い顔をして喜八郎を見上げる。
上目づかいかわいいなあなんて思っている喜八郎に向かって、乱太郎は泣きそうな顔をして叫んだ。
「二人っきりになりたいならそう言ってください!毎回なんで穴に落とすんですか!」
普通に誘ってくださいよ普通に!穴の中から響いてくる高い声に、喜八郎はやはり、首を傾げるばかりであった。
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これ以前、絵茶にお邪魔した際にもそもそ書いていたものです。
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