2011/5/13 小話(伏乱)



・小話です
・伏乱
・成長注意


「たとえば、僕が乱太郎に毒を注いだとするよ?」
「…いきなり怖い前提やめてよ、伏木蔵」

 乱太郎はいつも通りの声と表情で恐ろしいことを言う伏木蔵の前からちょっと引いた。引いた分だけ彼は追いかけてきて、結局乱太郎は壁際に追い詰められてしまう。
 危うい距離は、しかし彼の淡白な声に打ち消された。詰めていた息が、ひゅ、と口から漏れた。

「まあまあ。…注いだとしても、乱太郎は死なないと思うんだ」
「どうして?私も一応、あ、一応とか言っちゃった、人間だよ?」
「だって、乱太郎は薬だから。だから、だめなんだ。僕じゃ乱太郎を落とせないんだよ」
「…その理論で行くと、私は伏木蔵を浄化しちゃうってことになるのかな」
「そうだね、そう、なればいいのに」

 伏木蔵はそう言って弱く笑うと、乱太郎の肩口にそっと顔を寄せた。声は聞こえなかったけれど、もしかしたら伏木蔵は泣いてるのかもしれない、と乱太郎は思った。

 初めての、恐ろしい実習。そこで彼が何を見たのか、何を感じたのか、自分の中の何に、気づいたのかは乱太郎にはわからない。わからないけれど。

「…もし、私が伏木蔵の薬になるのなら」

 いつだって、助けてあげるから。小さな呟きに返事はなく、ただ、伏木蔵は震えるだけであった。


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 絵茶に(ry




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