2013/9/3 小話(乱受け)



・ついったの小話ログ
・女体化も現代パラレルも年齢逆転もあります
・藤内乱、ろじ乱、年齢逆転雷乱♀、文乱♀夫婦、(文)乱♀←雑



・藤内乱

 乱太郎が笑う時の手順はこうだ。
 まず、目をまあるく見開く。決して大きくはないけれど、何よりも輝く瞳をいっぱいにして、そしてふにゃりと緩める。取り込んだ光を柔らかく、優しくするように。
 同時に口の端っこをきゅっと上げる。乱太郎の口が緩やかな弧を描くだけで、なんだかすべてが上手くいきそうな気がする。すべてが優しく楽しいものに見えてくるんだ。
 そして、夏の太陽のように明るく、春の穏やかな陽光のように暖かい表情を浮かべて、本当に幸せそうに笑う。そんな笑顔を見る度に、俺は落ち着かない、くすぐったい気持ちと愛しさでいっぱいになって、乱太郎を抱きしめたくてたまらなくなる。
 だけど、いきなり抱きしめて驚きに笑顔を曇らせるのは嫌だから、こう言うんだ。そうすれば、愛しい太陽はこれまた嬉しそうに、笑ってくれるから。

【抱きしめてもいいかな】


・ろじ乱

 ごうごうと風が行く。窓を叩く雨をぼんやり眺めて、乱太郎はひとつため息を吐いた。
 台風が近づいていると聞いた時は妙にわくわくしてしまったけれど、三時間も経てば飽きてしまう。早く外に出たいと思うのは、きっと家にひとり取り残されているように感じるからだろう。妙に寂しくてたまらない。
(……会いたいなぁ)
(雨がやんだら会いに行っちゃおう、かな)
 だから、この思いも、すべては雨と風のせいだろう。会えなくて寂しいからじゃない。寂しいから会いたいんだ。そんなことを考えながら、台風が行くのを待った。

【雨がやんで、風が過ぎたら、会いにいこう】


・年齢逆転雷乱♀

「なんで?好きだよ?」
 そう言って目を瞬かせる彼女は何も分かっていない。あなたの言う好きは、僕の好きとは違うのだと訴えても、きっとこの人は分かってくれないだろう。二人の「好き」が同じ「好き」だと信じているこの人は、一生気づいてくれないに違いないのだ。
 平行線を辿る、交わらないふたつの「好き」があることを、彼女は知らない。

【「なんで?好きだよ?」】


・文乱♀夫婦

 夜が明ける。まず感じるのは自分のものではない体温で、ああ、今日も一日が始まるのだとひとつ息を吐く。そうして明けた日はいつものように過ぎていくのだ。行ってらっしゃいと見送られて、会社へ行く。昼まで働き、昼飯に妻の愛を感じ、また午後を過ごす。仕事を終えて家に戻れば、おかえりなさいと妻が迎えてくれる。夜の訪れを彼女と共にし、宵闇に見守られながら床につく。そうして暮れる日が、いつものように過ぎていく。ああ、今日も一日が終わるのかと安堵の息を吐いて。彼はその腕に妻を抱いて眠りにつくのだった。

【明けて暮れる】


・(文)乱♀←雑

 どうか、幸せでいておくれ。それが私の願いだよ。彼はそう言って笑った。
 その笑みの意味を乱太郎は知らなかったけれど、彼の願いは本物だと理解できた。
 だから、笑ってみせた。ありがとうございます。幸せになります。
 言った瞬間、強い風が花びらを巻き上げた。庇った目を再び開くと、そこにはもう、彼の姿はなかった。

【花の幻、風の夢/雑→乱】






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