2011/8/21 小話(三は乱♀)



・小話です
・三はの二人が乱お嬢様(ごさい)の執事やってる現代パラレル
・女体化、現代パラレル、成長、幼児化注意です
・なんか二人ともうざいです




 ぺくちっ、としか表現できない可愛らしいくしゃみをしたのは、彼らの主である五歳の少女であった。広い屋敷の燦々と太陽が降り注ぐサンルームで、何故少女がくしゃみをしたかというと、換気のために開けられていた窓から吹き込んだ冷たい風にその小さな体を震わせたのである。
 うー、と小動物の鳴き声のような声を上げた乱は、さして気にすることもなく、再びぬいぐるみの手を動かし始めた。くしゃみのせいで中断しかけた遊びを続けようと、くまのぬいぐるみの右手を上げさせて、わるいまほーつかいをやっつけにいきましょーとはしゃいだ声を上げながら、真向かいにいた藤内の手にあるうさぎのぬいぐるみに話しかける。

「だいまおーかずまのおしろは、すぐそこなのだー」

 傍らにいる数馬の手元に置かれたたぬきのぬいぐるみをびしっと指し示す。気分は冒険の旅に出た勇者、であるらしく、乱はきゃらきゃらと声を弾ませている。
 しかし、ご機嫌そのものな乱の言葉に、二人の執事は欠片も反応を示さなかった。乱の声だけが大きく響いていく。しん、と沈黙が落ちた。
 何の反応も返さない二人の様子がおかしいことに気付いたのだろう。乱はくまのぬいぐるみをぎゅう、と抱き締めて小首を傾げる。そうして乱が見上げる二人の顔は、見事に凍りついていて、驚愕に目を見開く藤内は勿論のこと、笑顔を湛えたまま凍りつく数馬もはっきり言って、怖かった。乱はあまり、気にしていないようであったが。

「とーないー?かずまー?」

 乱が二人の名を呼ぶ。すると、ようやく二人はびくっと肩を震わせた。そして、不思議そうにしている乱の目の前でぶるぶると震えだしたかと思うと、屋敷中に響き渡る声で、叫んだ。

「乱お嬢様がお風邪を召されたぁあああああああああっ!」
「医者を!医者を呼べぇえええええええええええええっ!」

 整理しておこう。乱はただ、冷たい風が吹き込んできたからくしゃみをしただけである。ただ、それだけである。
 しかし、乱の世話係を任され、四六時中傍につき、正直どうよ?と他の使用人に突っ込みを入れられるくらい乱お嬢様を溺愛している二人の執事には、乱の小さなくしゃみも重度の風邪に思えたのだった。嘘のような本当の話である。
 光の速さで藤内は開け放してあった窓を閉め、数馬も忍者のような身のこなしで毛布を取りに行った。そしてあっという間に乱を包んでしまうと、サンルームを出、乱の部屋がある二階へ続く階段へと向かった。

「とりあえずは部屋を暖めて、氷枕と体温計と…」
「医者はどうする?善法寺先生か雑渡先生か…」
「どっちも却下に決まってるだろ!あの不運医者とエロ医者に乱お嬢様を任せられるか!」

 ああでもないこうでもないと対策を講じ始めた二人の執事、その片割れの藤内の腕の中でお嬢様は、

「わーい、らん、とらわれのおひめさまなのー」

 と言ってはしゃいでいたという。なんともまあ、罪作りなお姫様である。

_ _ _ _ _

 このあと、三は執事は勿論怒られます。乱ちゃんのお兄ちゃんの勘ちゃんに。
 藤内と数馬は乱お嬢様のことが好きすぎて大事すぎてひどいことになってたらいい。乱お嬢様成長記録とか乱お嬢様の一日と題した日記とか、乱お嬢様育成計画とかやってたらいい。
 誰得



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