2011/7/23 小話(双忍乱)
・小話です(結構短め)
・双忍乱
・年齢逆転注意
「きみたちは面倒だねえ」
先輩はそう言って軽やかに笑った。その笑顔はいつも先輩が向けてくれる笑顔と同じもので、厭味だとか、そういうものではないのだということが知れる。だから余計に、僕は心配になった。
「…先輩は、僕たちのことが嫌いですか?」
「え?」
「だって、面倒なのでしょう?」
僕が言うと先輩は、きょとりと目を円くして、一瞬後に笑った。
「面倒だから嫌いになんてならないよ。だって面倒な人間なんていないんだから。面倒な人間を皆嫌ってたら私は誰も好きになれなくなっちゃう。それにね」
先輩はゆるやかに目を細めて、僕たちを見る。その目はとても優しくて、僕たちはどきりと心の臓が鳴るのを聞いた。
「私はそんな面倒なきみたちが、大好きなんだよ」
無理して変わる必要はないんだと、言ってもらえた気がして、すとんと心が落ち着いた音がした。
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