2011/6/23 小話(乱受け)
・小話です
・生徒の誰か→乱太郎←大人の誰か
あの子は黄昏なのだと言ったのは誰であっただろう。
夕焼けの茜色と暮れた空の緑色をその身に有するあの子。その子は僕たちが帰る場所なのだと彼は言った。人としての理性が朽ちてしまうその前に還る、眠りの場所だと。
僕が死ぬ時、あの子の傍にいられたら良いなと彼は笑っていた。
「そうすれば僕は、きっと人として死ねる」
あの小さな子に何故お前はそんな役割を背負わせるのだと、私は言った。
優しいあの子はきっと全てを受け止めようとしてしまう。終わりの黄昏などとあの子を追い詰めないでやってくれ。あの子が持つ色が黄昏の色だったとしても、その黄昏は始まりの黄昏だ。
沈んだ先にある明日へ向かう、黄昏だ。
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本人にそんなつもりはなくても乱太郎に重い期待を背負わせてしまう生徒の誰かと、たった十歳の乱太郎を守ってやりたい大人の誰か。
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