2011/6/22 小話(タカ乱)
・小話
・タカ乱
さらさら、小川が流れるように彼の髪は肩を滑り、背中へ落ちる。いいなあ、綺麗だなあ。私の髪もこんな中途半端な色じゃなくて、タカ丸さんみたいな色だったらよかったのに。
そんなことを考えながら稲穂色の髪をぼんやり眺めていた乱太郎は、同じように彼も自分の髪を見つめていることに気がついた。
「どうかしましたか?」
「え?ああ、良いなあ、羨ましいなあって思って」
「へ?」
「乱太郎の髪がね。ふわふわで、気持ちよくて。まとまりにくいから乱太郎は好きじゃないって言うけど、僕は好きだよ」
「そうですかあ?私はタカ丸さんの髪が羨ましいですけど…」
「んー、でも好きなんだ。憧れるんだよ」
そうして伸ばされた彼の指から伝わるのは、淡い、淡い何かだった。自分の手に入らないものを、希う、そんな思いだった。
(その憧れは恋に似ているといつか彼は気付くのだろう)
絵茶でちゃこたんからリクエストいただいたタカ乱でした。
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