2011/6/6 小話(久々→乱)
・小話です
・久々→乱+五年生
・現代パラレル、成長注意
・久々知兵助くんがちょっとアレです
乱太郎が操る箸が、白いそれに伸びる。抹茶色をした小鉢の中でほどよい弾力をもって箸を受け止めた豆腐は、兵助の自信作であった。
自らも食卓に並んだ皿に盛られた料理に手を付けながら、乱太郎に早く食べてみてくれと声を掛ける。
兵助が豆腐に対して並々ならぬ情熱を持っていることを知っている乱太郎は苦笑しながらも箸を進めた。
崩れのない角をした立方体に近い形の豆腐を箸で割った乱太郎が、不意に顔を歪めた。箸が何か、固いものにぶつかった感触がしたのだが、なんだろう。
首を傾げた乱太郎の前で兵助は笑うばかりだ。
おそるおそる小鉢の中身を確認した乱太郎は、その緑色の目を見開いた。
「やっと見つけてくれたか」
「兵助さん…これ…これ…っ!」
小鉢の中からそれを取り出して手の平に乗せた乱太郎は、兵助にとびっきりの笑顔で微笑んだ。そして続く兵助の言葉に可憐に頷いたのであった。
「という夢を見たんだ」
うっとりと語る兵助の横で、彼の話を聞かされていた友人たちはひそひそと顔を寄せ合っていた。
「…本気でやりそうで怖い」
「いや、豆腐で指輪作るよりはまだマシじゃねぇか?」
「いやいやその前にプロポーズっておかしいだろ、兵助と乱太郎付き合ってさえいないのに」
「どうする?夢はあくまで夢であって現実じゃないんだよって優しく言ってあげる?」
「いや、予知夢だから問題ないって言われるのがオチだろ。ここはやっぱり」
「…やっぱりなんだよ」
「世のため乱太郎のためにこの辺りで兵助の息の根を」
「それだけはやめろー!!警察沙汰はダメ!ゼッタイ!!」
「いつもの三郎の笑えない冗談だろ、落ち着けよ勘右衛門。でもちょっと焼き入れるくらいなら良いよな?」
「いいんじゃない?」
「いやいやいや駄目だって!勘弁してくれ!」
回収するの俺なんだからと泣きそうな顔をしている勘右衛門の願いも虚しく、結局兵助は言葉では言い表せないそれはもう怖ろしい目に遭ったという。
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ついったで呟いたネタから生まれたお話でした。「豆腐で指輪を作る」というのはフォロワーさんがおっしゃってたのをお借りました。なむさんありがとうございました!ヽ(´ω`*)ノ
6月5日はプロポーズの日ってことでのプロポーズネタだったんですが…うん…なんか彼ならやりそうだなって…思って…
正直…すまんかったと…思っている…
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