「にろ、どれがいいかな?」




「なまえ早くしてよねー」

「にろーー待ってよー。アイス…うーん、どれにしよう……」

部活の休憩中。学校横のコンビニにアイスを買いに来たんだけど、決めれない。
部員達の分はにろが勝手に決めてくれた。
でも私は自分のが決まらない。


「パピコかピノか…」

「パピコだろ」

「でも一人じゃ食べきれない」

パピコを二つも食べれる気はしない。
そんなことしたらお腹が冷えちゃう。

「あ、じゃあ半分こしよ?」

「はいはい」

「やったー」

にろは自分が選んでいたものを戻してくれた。珍しく優しい。

「あ、にろ!味二つあるよ」

「どっちでもいいだろ」

「んー普通のか限定のやつか…」

「限定のやつ」

「ほーい」

半分こしてくれるんだから、ここはにろの好きな方にしよう。

私がパピコを手に取ろうとしたら、にろは横から一つとりカゴに入れてくれた。
え、買ってくれるの?

「奢ってやるよ」

「にろイケメン!ありがとう!」

「お礼は?」

お礼!?そんなもの何もない…。

「にろ大好き!愛してる!!!」

とりあえず褒め称える。
するとにろは馬鹿にしたように笑って、私の髪をくしゃっとしてレジに並んだ。


……にろってば照れた時、いっつも私の髪をくしゃくしゃにするんだよなぁ。
分かりやすい。

私も思わずにやけてしまうのだった。





「みなさーん。アイスでーす」

体育館で待っていた部員達にアイスを配る。

「……なまえ、これ選んだのなまえか?」

「え?違いますよー」

にろが選んだの、そう言えば部員達はため息をついてアイスを私に見せてくれる。

「うわぁ……」

やけに楽しそうに選んでると思ったら、これか。

部員達の手には、ガリガリくんのコンポタ味や、他にもどう考えても美味しくはなさそうなものばかり。

大声で笑うにろは最後にパピコを取り出すと、部員達に見せつけるように半分こして、片方私にくれた。

そしてちゅーちゅーと美味しそうに食べる。

「うわーうめー」

「にろ、やめなさい!!」

部員達は、「二口に任せた俺らが馬鹿だった」と、観念して食べはじめた。


「にろってば…」

「なまえ、美味しいなー?」


この性悪め…。

でも部員達が「うわー」「すげー色…」とか言いながらはしゃいでるのを見て、まぁ、いいか、と思ったり。




「にろ、どれがいいかな?」
(「え、意外とうまい…」「マジ!?」)





あとがき

悪戯っ子の二口くんでしたとさ。



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