嫉妬心も受け止めて?
「なまえ、なんか拗ねてない?」
「え?拗ねてないよ?」
部活帰り。
私は一生懸命笑っていたのに、どこか違うことに気付いたのか、大地は私の顔を覗き込んできた。
お昼休み、私は大地に部活のことで伝えることがあって会いに行った。
大地の姿を見つけて、駆け寄ろうとしたら、その姿の隣にいたもう一人の人物が目に入った。
結ちゃん。
大地と結ちゃんは仲が良い。
中学生の時からの友達で、同じバレー部主将ということで、何かと相談しあったりしている。
主将の大変さは主将にしか分からないし、私はバレー部といってもマネージャー。
プレーの辛さだって、完璧に分かってあげることは出来ない。
私に嫉妬する権利なんてない。
そういつも言い聞かせてきたのに、二人が笑いあっているところをみたら、なんだか胸がモヤっとしていまう私がいた。
「あれ?なまえ?」
「なまえー!」
声をかけてくれたのに、二人が並んでいる姿はとてもお似合いで…。
「大地、結ちゃん…あはは」
と笑ってその場を離れるしかなかった。
「私も、バレー部が良かったな」
なんて思わず呟いてしまって。
口に出してから、言わなきゃ良かったって後悔した。
「え?なまえだってバレー部だろ?」
「……ううん。なんでもない」
ちゃんと笑顔を作ったはずなのに、大地にはなんでもお見通しで。
手を繋いでいない方の手で、頭を優しく撫でられた。
「なんか変だぞ?」
「私も……大地の大変さわかってあげれて、相談させる女の子になりたかった」
「……道宮のことか?」
なんですぐ分かっちゃうの。
「…それに、私だって中学生の大地と知り合いたかったもん…」
すると大地は楽しそうに笑いはじめた。
な、なんだよう…。こんな馬鹿みたいに嫉妬して、恥ずかしいんですけど。
「いや、なまえがやきもちやいてくれるなんてなぁ」
「……大地、優しいし、かっこいいし、大人だし、とにかく素敵だし、モテるから心配なんだからね」
俯いてぽそぽそとそう言えば、大地は私の頬に手を添えて顔を上げさせると、珍しく深いキスをくれた。
「んっ…ちょ、だい、ち。なに…」
「いや、なまえが可愛すぎてな」
「…っ!」
大地があまりにも幸せそうに私を見るものだから、嫉妬なんてしていた私が馬鹿みたい…。
「なまえがマネージャーで俺は嬉しいよ。俺が辛い時、いつもそばにいてもらえる」
でも、と大地は続ける。
「俺も中学の時に、なまえに会いたかったよ」
今度は頬に優しいキスをくれて、私はこの胸のきゅんきゅんを、「大好きだよ」という想いを大地に伝えたくて、思いっきり抱きついた。
そうしたら、大地はそれをわかってくれて。
「俺もだよ」
と抱きしめ返してくれた。
これからもずっと大地を支えるよ。
でも、たまにはやきもちやいちゃうかもしれないから、その時はまた、
たくさんの愛を伝えてね。
嫉妬心も受け止めて?
(「大好き」)
あとがき
これからもやきもちやきつつもラブラブでいてください。
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