これはきっとキミのせい



「やっちゃーん!」

「はいっわっ!ウワァっ!」

「へへ」

「なまえさん!びっくりしましたよお…。それ、どうしたんですか?」

やっちゃんが指差す先には、

「水鉄砲!部室で見つけたの!」

そう、あの何故が手に持つと人に打ちたくなる夏の子供のおもちゃの定番、水鉄砲。

部室の片付けをしていたら、たまたま発見したのだ。


「今日暑いしちょうどよくない?」

「わー!ありがとうございます!」

はい、とやっちゃんにも一つ手渡せば、嬉しそうにいそいそと水を入れ始める。


「えいっ!」

「やったなーーー!?」



やっちゃんと遊びはじめてしばらく経った時だった。

「えええええ!いいないいな!俺もやりたぁああい!!!」

「なにしてるんですか」

「わー…二人ともずぶ濡れ…」

やってきたのは、目を輝かせる日向と呆れるツッキーと驚く山口。そして何故かこっちを見ない影山。

「みんなもやる?」

「俺もやるーーー!!」

日向に手渡せば水を入れ、すぐさまツッキー達に向けて発射。
もちろん避けたツッキーと顔面に受けた山口。
日向はケラケラと笑っている。

「ちょっと。僕をまきこまないでよね。…ってか王様、なんで向こう向いてんの」

影山はさっきからこちらを見ようとしない。

「かーげやま?どったの?」

「いや、その、なんでもないっす」

「なんでこっち見ないの?」

するとツッキーは途端に楽しそうに影山へと近付いた。


「わかった。なまえさんの下着が透けてるから…デショ」

影山は図星だったようで、ツッキーに真っ赤な顔で掴みかかる。

自分のTシャツを見れば確かにノースリの下から少しだけ下着が透けていた。

「わああああごめんなさいいいいああい」

「わああああスミマセン!」

やっちゃんは、大慌て。そして山口は全力で向こうを向いてしまった。


「たいして透けてないし気にしないけど」

「それに色気ないですもんネー…おっと」

「おいツッキー聞き捨てならないぞ」

なんて、言い合っていたら視界がいきなり暗くなる。
影山が自分のジャージを私とツッキーの間に押し込んできたからだった。

貸してくれるの?


「なまえさん、着ててください」

「いいの?」

無言で頷く影山。

「へへ、ありがとう」

影山のジャージはもちろん大きくて、ぶかぶか。


「……下着なんて他の男に見せないでください」

「王様、独占欲つよぉーい」

「うるせぇ月島!王様って言うんじゃねー!」




いつも通りの争いが始まる。
でも、私の心はいつもよりドキドキしてた。


きっと、このぶかぶかのジャージのせい。



これはきっとキミのせい
(あとからお仕置きってことにして襲っていいかな)





あとがき

可愛い可愛い影山くんでした。




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